ハゲケアのはじまり

 06 ハゲとの邂逅

 前書きが長くなってしまいました。とはいっても、実践までまだもう少し続きます。エッセイなのでいいですよね。

 それでは、なぜハゲケアを考えるようになったのか、それをまず話しましょう。

 自分の個人的なハゲケア話です。

 あれは、小学校高学年だった頃の話です。

 ハゲケアなのに早すぎないか?って思われるでしょう。

 私も思います。

 もちろん、その頃はハゲとは無縁のお年頃で別に気にしてはいませんでした。

 まぁハゲを気にする小学生なんてそうそういませんよね。

 その当時は祖母の家に、月に一回か、二か月に一回か、それなりの頻度で行っていました。

 そして、祖母の家に行ったときは必ずと言っていいほど、徒歩30秒でつく贔屓の床屋に行くのです。

 私の祖父が昔から切ってもらっていたくらい超ベテランと言っていいダンディーさんがご夫婦でやっている床屋です。

 落ち着きのなかった小学生の私はその店のおばあちゃんに頭を固定されながら切っていました。なんとも手のかかる子供です。

 中学生になるまではその床屋以外で切ったことがないというほどお世話になった場所でした。

 それはそうと、祖母の家に行った時の事です。

 思い出の詰まった床屋さんで、衝撃的なことを言われました。

「このままだとお父さんより早くハゲるよ」

 えっ?って思いました。

 20年も前の事なので正確には覚えていませんが、そんな感じのことを言われたということはよく覚えています。

 当時、父親はすでに薄めの髪。話によると20代で兆しがあったらしい。

 私は考えました。

 私が父親の年になる頃には父親よりハゲが進行した状態になっているということ?

 それとも父親を追い越すハイスピードでハゲるということ?

 もし後者だとしたら恐ろしい話です。

 床屋のダンディーさんがどちらの意味で言ったのかはわかりません。

 聞けばよかったのですが、そんな恐ろしいことは聞けず、別の話をしたような気がします。なにを話したかは全く覚えていませんが。

 父親より早くハゲるという予言は明確に覚えているんですけどね。

 祖父、父の髪を切り、私の頭を生まれたときから見てきた床屋の言うことです。

 信憑性があります。

 20年ほど経っても覚えているくらいですから、人生でも上位に入る、心に刺さった言葉であると言えるでしょう。

 これが私とハゲとの邂逅です。


 07 ハゲへの意識

 ハイスピードハゲの可能性を示唆されてから、ハゲを意識するようになりました。

 やっぱり他人から言われると気になるんですよね。

 お風呂の後で髪の毛を拭いたタオルを見て「こんなに毛が抜けてる。大丈夫かな」なんて心配したり、タオルに付いている髪の毛が太ければ代謝だからいいけど細かったらヤバいという情報を聞いて細い抜け毛をチェックしたりもしました。

 他にも頭皮が動かなくて固いと将来ハゲるとかそんな話があったりしたんですが、自分の頭皮を動かしてみて、そんなに動かないけどこれは固いのか?固くないのか?と気にしたり、ちょっと頭をマッサージしてみたり、先の丸いブラシのようなもので頭をコンコンと叩いて刺激してみたりしたものです。

 まぁ続きませんでしたけど。

 ハゲが進んでいる意識もないし、髪が元気になっているとかわからないし、そもそも効果のわからないものをやり続けるってなかなか難しいと思います。

 そういえば、頭を刺激して髪を生やす方法って昔良く聞いたり、そんな健康器具的な物が売っていたりしたと思うのですが最近全くみませんね。どこにいったのでしょうか。まだ売っているんですかね。

 最近は薬品系が多い気がします。なんだか物理から化学にシフトした感があります。

 あとは、ワカメを食べると髪が生えるとかいう話もありました。今もあるんでしょうか。これも、真偽はさだかではなく、何故ワカメで髪が映えるのかのメカニズムがわかりません。

 そもそも、小学生の子供が「髪の毛にいいから毎日ワカメを食卓に出してほしい」と保護者に頼むというのはハードルが高すぎて、即断即決で諦めるレベルです。

 他にも、あるテレビ番組で流れていた方法で、メカニズムがわかったものの試そうとは思わないものがありました。

 頭に餌を塗りつけて牛に舐めさせるというものです。「痛っ!痛い痛い!」なんて言いながら舐められているわけです。

 逆に髪の毛抜けていっているんじゃないのかって思いましたが、ざらざらとした牛の舌が頭皮の汚れごと綺麗さっぱり舐めとってくれるらしいのです。

 その後、それを試している人の本当かどうかわからないbefore、after写真が出てくるわけですが、当時の私はなるほどなぁと感心しました。

 とはいっても、ちょっと試せるレベルのものではありませんし、そもそもやりたくありません。


 さて、そんなこんなで色々とハゲ対策に注目し始めて、ハゲへの意識が高まった訳ですが、どの方法も私には合いませんでした。

 結局小学生の間は対策を立てることなく中学生になりました。


 08 13歳からのハゲケアの始まり

 

 ここからハゲケアの取り組み方を、私の考えを踏まえて書いていきます。

 「自分で考えて」がポイントですから、それを考えるに至った経緯も大切かと思います。

 時は私が中学一年生の頃です。

 ちなみに中学一年生、つまり13歳からハゲケアを実践していたのでタイトルを「13歳からのハゲケア」にしました。『13歳からの〇〇』なんてタイトルは別の将来の職業を決める本を思い浮かべるので使ったら怒られるのかな、なんて思ってたので『ハゲケアのすゝめ』とか『異世界のハゲケア』とか他の名前を最初は付けていたんです。

 けれどある本屋に行ったとき、全然別の本で『13歳からの〇〇』って本を目にして、あっ別にいいんだって思い、タイトルを決めました。

 そもそも13歳からハゲケアを始めたんだから正しいし、そもそも有名にならなければ問題になることもありませんからね。

 

 脱線しました。時を戻しましょう。

 私が中学一年生の頃です。

 私の通っていた中学校は校則が厳しいところでした。

 例えば、シャツどころか靴や靴下まで白に指定、学ランは常に第一ボタンまでしめ、携帯電話持ち込み禁止などなど。まぁ当時は携帯電話を中学生で持っている人はあまり多くなかったですし、時代もあるでしょう。今は変わっているかもしれません。今はスマホを小学生から連絡用に持っているとか聞く時代ですから。

 その厳しい校則の中でも特に厳しかったのが頭髪です。

 詰め襟、眉、耳にわずかでも掛かってはいけないというルールです。耳に髪の毛一本でも掛かっているとアウトになるという厳しいものでした。

 もみあげや眉の規定もありました。もみあげは耳の穴の位置まで、眉は一切剃ってはいけないなどです。

 本当にそんなに厳しいの? オーバーに言いすぎなんじゃない? なんて思うかもしれませんが事実です。

 お手入れレベルで眉を少し剃ったらアウト、少し伸びかけた坊主で本当に一本だけかかっていてアウトになった例もありました。

 これも今はどうなっているのかわかりませんが。

 機会があれば聞いてみたいですね。

 何にせよ、そんな検査が約40日に一回来るわけです。

 とてもじゃありませんがそんな都合良く検査の前に祖母の家に行くなんてことはありません。

 どうしよう、と思いました。

 いやいや、床屋くらいその辺にあるだろうって思いますよね。

 その通りです。今の私もそう思います。

 けれど、当時の私はこだわりが強く、馴染みの店じゃないと嫌というタイプでした。

 床屋を変えたくない派は男性に多いらしいですね。私は年を重ねて安ければ良い派に変わり、さらにそれが進んで自分で切ればタダで良い派になりましたけど。

 当時は髪を切らなければいけないけど馴染みの床屋がいい。検査が近づいて、でも床屋に行くタイミングが合わず、結局自分で適当に切ってボロボロの髪型になってしまうこともありました。


 09一部ハゲ


 ボロボロの髪型とはどんなものかというと、全体的にザクザク切られた感があるのはもちろん、特に耳回りが酷かったのです。

 切りながら、まだ耳に掛かるかなぁ、こうしたら耳に掛かるかもしれない、等と思ってザクザクきるわけです。なんせ一本でも耳に掛かっていたら再検査になるわけですから。特に右利きの私が切りにくい左側の耳回りが酷く、一部ハゲができるくらいに切っちゃったんですね。

 めでたく頭髪検査を合格したわけですが、検査の時に先生から「これ自分で切ったのか」と残念な感じで言われました。

 当時は照れ笑いで流しましたが、検査が厳しすぎるのが悪いと開き直っても良かったと今では思います。

 そんな私を見かねてか、父親がある床屋をお勧めしてくれました。

 それは自宅から自転車で五分くらいの所にある、これまたベテランに見えるお婆様が自宅の一部でやっている店でした。

 私は見た目にこだわりがなく髪型も気にしないタイプでしたが、さすがに100均のハサミで適当に切って一部ハゲになった髪型は良くないだろうと思い、渋々その床屋に行きました。

 もちろん、きちんとした腕を持っている床屋なので良い感じに仕上げて貰えるわけです。

 カット、顔剃り(眉は少しでも剃ると違反になるため剃らない)、洗髪、仕上げカットのフルプラン。

 髪型に興味がない、とは言うものの、ちゃんとしている方がもちろん良いわけで、ここは第二の床屋に認定されました。

 ただ一つだけ難点がありました。

 洗髪の時です。

 めちゃくちゃ痛いんです。

 爪たててるよね? 頭皮削れてない? 血が滲んでるのでは?

 そう思うくらい痛い。

 痒いとこありますかー?なんて聞かれないですが、聞かれたとしてもNO一択でしょう。

 全体的に痛いです。

 それを伝えようかと何度思ったことか。

 結局伝えませんでしたが。

 意気地なしです。


 10ひらめき


 いつまで昔話が続くのかとお思いでしょう。ハゲケアはどうなったのかと。

 やっと実践に入ります。

 痛いほど洗う床屋でピンときたんです。

 これは、牛と同じじゃないか?と。

 07で紹介した、牛に舐めさせて汚れを取って髪を生やす方法のことです。

 牛=床屋のお婆様。

 床屋のお婆様は痩せていて品のよさそうな人です。牛の様に恰幅が良く、ものすごいパワーを持っているなんてことはもちろん無いので、私でも力強く洗えば良いのでは、と思いました。

 当時、私のお風呂はカラスの行水のようで、早さを重視していました。

 男性は早い人が多いと聞きますが、私はその3倍早いでしょう。暑いのが嫌いで、夏なんて特に外が暑いのに体を温めるなんて意味が分からないということで、すぐに流して出て行きます。温泉とか全く向かないタイプですね。

 話を戻すと、その痛いほど洗われる経験から頭皮を良く洗うという考えが生まれました。

 でも、頭皮の汚れを全て洗い流すためには、普通のシャンプーでは不十分じゃないか。

 そう思った私は父親のシャンプーを手に取りました。

 シャンプーの名前は許可を取っていませんので言えませんが、なんだか成功しそうな男性向け薬用シャンプーです。

 売り上げに貢献できたら広告費が貰える契約とかないですかね、フラワーキングさん。そんな契約があればガンガン商品を推すんですけど。

 それはそうと、シャンプーの話ですね。

 このシャンプーがいい!という話ではありません。「これがお勧めです!」とか言い始めたら、あっこいつ金を貰っているな、と疑ってください。

 シャンプーは脂を落とすタイプのものであれば何でもいいと思います。

 薬用シャンプーはいろいろな種類の商品があって、それぞれ毛根に良いと呼ばれる成分が配合されているのでしょう。

 それはもちろん素晴らしいことです。

 けどすぐに洗い流しますし、本当に効果があるのか?ってちょっと思う部分があることは否めません。

 とりあえず、薬用シャンプーなら脂をガッツリ落とせる、髪に悪い成分が無いから良くて、もしかしたらちょっと育毛に効くかもしれないなって気持ち程度です。

 あと、私の場合は実験のため、中学生からそれ以外のシャンプーを使わないようにしています。人体実験ですね。あんまり条件を変えると分かりにくくなるので限定しました。旅行の時もちゃんと小さいポリボトルに入れて持ち歩いているくらい徹底して使っています。

 人体実験がしたいという人はあれですが、基本的にはそれぞれ気に入った物を使って、いまいちだと思えば変えればいいと思います。

 同じ商品とは言っても結局何度かマイナーチェンジしていますからね。全く同じではないんですからそこまでこだわる必要はないです。


 話を戻しましょうか。すぐに脱線してしまいますね。

 中学生の私が父親のシャンプーを使って頭を洗いました。

 途中で父親から最近シャンプーの減りが速いとの苦情を受けたのはご愛敬です。

 さて、頭を洗うわけですが、ここでのポイントは頭皮を洗うということです。

 髪の毛を洗っているという意識は全くありません。

 髪の先のキューティクルがどうなっていようがどうでもいいのです。

 キューティクルがどれだけ綺麗だろうと髪は生えません。

 大事なのは毛根、頭皮です。

 頭皮を清潔に保つことが大事だと思います。

 なので、頭皮の脂を根こそぎ落とす、という気持ちで洗っています。

 牛の舌で舐めとられるのと同じくらいの威力で。

 でも爪は立てません。頭皮が傷つきそうなので。

 指の腹で力強く頭皮を洗うのです。

 ちゃんと時間をかけて洗い残しが無いよう均一にしっかりごしごし洗います。

 これを始めたのが、人生で初めてのハゲケアです。

 ここから色々と考えてハゲケアが進化していきました。

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