「感情迷子ね」
「感情迷子ね」
ベッドでゴロンと横になってスマホでカクヨムを見ていた紗奈は唐突にそう言った。
「まー」
1歳2ヶ月のなる姫奈。
様の隣で元気に言葉を発している。
トントンとお腹を触るようにしていると姫奈はすぐに寝た。
夜泣きはまだしているがピーク時よりは減ってきたように思う。
「毎年、この時期思うんだけど読むものがなくなるのよねぇ」
「カクヨムコンでたくさん作品があがってくるのに?」
「毎年のことだけど、注目の作品が下に下がってカクヨムコンのランキングが優先されるでしょ? ランキングはあくまで初速があるか、有名な人の作品かつテンプレ系が多いから、私に合う作品じゃないのよねぇ」
「そういえばそうだね」
紗奈はベッドをずりずり進み、座っている僕の足を枕にする。
「書きたい作品はあるけど、この時期疲れやすいから書ける気力がないのよ。だけどモヤモヤが溜まって〜。ああ、イチャイチャチュッチュしている作品が読みたい……」
そう言って僕に催促するので、上から紗奈の口に口を重ねる。
ちょうど逆になっているので互いの舌の表面がそのまま重なるので、お互い舌の表面の感触が強い。
もきゅもきゅ。
「あー、なんにもできないなぁー」
「そういうときは早く寝るべきだよ」
「それもそうね」
なので僕らは早々に一緒に布団に入った。
夜泣き対策でもある。
寝られるときは寝る。
「……そういえば声ケン、中間通っちゃったね」
「通っちゃった、なんだ?」
「……そりゃ、ギャグとはいえ半分黒歴史だし。正直、声ケンのコンセプトに1番向いているのはもきゅもきゅなんだよねぇ、絶対応募しないけど」
「……紛うことなき黒歴史だからね」
「コンテストの方向性から見て入賞はないけどね。でも、ああいう他社とのコラボコンテストっていい考えよね。赤いきつねのコンテストなんか、すごく良い企画と思ったけどアレはカクヨムと作家陣の敗北なんだろうなと今では思うの」
「カクヨムと作家陣の敗北?」
「そう。結局のところ、コンセプトとして赤いきつねの売り上げに貢献できる作品を誰も作れなかった、もしくは選べなかったということよ。売り上げに繋げられていれば第二回が開催されてたでしょうから」
「ああ、なるほど」
「他業種企業コラボがもし次回再開されるなら次こそは……むにゃむにゃ」
「おやすみ」
小さくそう言って、僕は紗奈の唇に軽くキスを落とした。
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