「恋愛ものが読みたいっ!!」

「恋愛ものが読みたいっ!!」


ベッドの上の紗奈が握り拳を天に突き上げ力強くそう言った。


姫奈はそれも気にせずスピスピ眠ってる。

「いつも通りだね」

紗奈はカッと目を見開き僕の方ににじりより、そのままちょいちょいと指で僕に催促する。


催促されるまま僕は紗奈の口に口を重ねる。


「違っ、もっぎゅ……」

もっきゅもっきゅ……。


なお、僕はそうしながら優しく紗奈を押し倒す。


もっきゅもっきゅ……。


──────

────────────

──────────────────


「それでどんな恋愛ものが読みたいんだい?」

「あー……そうねぇ〜」


紗奈は僕に頭を撫でられ、ときどき唇を重ねつつ答える。


「濃い〜純愛かなぁ。NTRとかなくジレジレしつつも、なんというかキスが甘い感じの。意外とないのよねぇ〜、異世界ものじゃない純愛もの」


「純愛自体はありそうだけど?」


「最初に彼女NTRされましたーとか、幼馴染NTRされましたーとか余分なのはいらないのよねぇー。でも恋愛観は人それぞれでなかなかマッチしないから、純愛ぽく見えて35話ぐらいで、なんか違う、ってのはよくあるのよねぇー。いやもうぶっちゃけ、両片想いどころか両想いで愛し合ってるぐらいでジレジレしてる恋愛がみたい」


「愛し合っててジレジレって……なに?」


「読み手からは愛し合ってるとわかってて、そしてくどくないの。愛し合ってる行動しててお互いの気持ちに気づきませーんとかいう鈍いというか、ちょっと頭悪過ぎない?とか思うのはダメなのよ!」


「条件厳しいなぁー」


そう言いつつ紗奈と重ねた唇から互いの舌を絡ませる。

もきゅもきゅもきゅもきゅ。


口を離して再度、唇を軽く重ねて紗奈はうーんと悩みつつ。

「もうこうなったらいっそ書こうかしらと思っちゃうんだけど……」

「だけど?」


「私のラブコメ……需要がないのよねー」

「まー、紗奈は独特だからねー」

「なんでよ! 幼馴染ラブは当然でしょ!」


「そりゃそうだけど、書いてるのもきゅもきゅ以外は幼馴染ラブコメじゃないよね?」


自分のカクヨムで書いた作品を見直す紗奈。


「あ、ほんとだ」

気づいてなかったんかい。


「次、書きたいやつも幼馴染ものじゃないのよねぇ〜」

「別に幼馴染ものにこだわらなくていいけど、お師匠様の続き書くんじゃないの?」


そう僕が言うと紗奈はあからさまに目をそらした。


「書キタイ熱ハ突然ヤッテクルノデス」

「なぜカタコト……」


「ええい、颯太のそんな口はふさいで……あ、んっぐっ、颯太、私がんっぐっ、ふさぐからふさがない、で……」

僕は迷わずいつも通り紗奈の口を口でふさいだ。

もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。

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