「とりあえず、ありがとうぅぅううううううう\( ゚д゚)/」
「とりあえず、ありがとうぅぅううううううう\( ゚д゚)/」
紗奈がベッドの上でカクヨムを見ていたが、唐突にそう言って両手を挙げた。
「あうーー\( ゚д゚)/」
それを真似して姫奈も両手を挙げた。
「ふむふむ、それで何にありがとう?」
2人の頭を撫でながら僕は尋ねる。
すると紗奈はふふふ、と笑いながらスマホでカクヨムを見せる。
それを姫奈が不思議そうに見て首を傾げる。
姫奈の頭を撫でるのを継続しつつ、僕はカクヨムを見る。
「あー……、これはこれで、うん、まあ……ね」
僕はなんと言って良いかわからない。
そこにあったのは『あのこえけん』の第3回のランキング1位に位置してしまったそれ。
突き抜けた作品である。
ただ言えるのは、コンテスト企画者が求めているコンセプトとは間違いなく違う作品だろうということである。
僕は素朴な疑問を尋ねる。
「結局、これは寝取りだったの?」
「ふっふっふ、真実は皆の心の中に、よ。ぶっちゃけ、明らかなアノ声だった場合、確実にアウトだという理由で私としては違いますと断言するしかないわね。どれほど黒に見えても灰色です!と言うしかないわ。俗に言う大人の都合ってやつね!」
「自慢して言うことじゃないよ……。応募しないんじゃなかったの?」
僕がそう尋ねると紗奈はうーんと腕組みして首を傾げる。
「そのつもりだったんだけど、残り2週間ぐらいになったのを見て……魔が差した?」
つまり、勢いということだろう。
「もきゅもきゅにはしなかったんだねー」
「んー、ぶっちゃけのぶっちゃけ、このコンテストのコンセプトはアレだよね。だからたしかに1番向いていて可能性があるのってもきゅもきゅなんだけど、そういう方面ではちょっと……」
「散々、アレな内容を出しておいて!?」
「ほら、今回のはギャグだから」
それで言い切るらしい。
僕はオネムになりかけている姫奈を抱っこしてその背を軽くトントンとする。
「んでも、1位は1位だから感謝はここでぐらい言っておこうと思って」
「まあ、感謝を言うのは大切なことだね」
「でしょ? だから、ありがとー\( ゚д゚)/」
そう言って紗奈は再度、スマホに向かって感謝の言葉を述べる。
ひと通り感謝の言葉を述べた紗奈がこちらを向いたので、僕は姫奈を抱っこして後ろを向かせたまま、ちょいちょいと紗奈を指で呼ぶ。
大人しく近づいて来た紗奈の口にいつものように口を重ねる。
もきゅもきゅ……。
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