「打ち切りエンドはある意味で伝説を作るのね」
「打ち切りエンドはある意味で伝説を作るのね」
僕の隣でベッドに寝転びながら、スマホ片手にゴロゴロしていた紗奈が唐突にそう言った。
なお、姫奈はお昼寝中。
僕は相槌のかわりに紗奈の口に口を重ねる。
「んっぐ」
もきゅもきゅもきゅもきゅ。
口を離すと紗奈はとろ〜んとした目をするので、再度口を重ね……。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。
……。
…………。
………………。
「それで伝説って?」
「むー」
紗奈が頬を膨らませてペチペチと僕を叩く。
話をさえぎってイチャイチャに持ち込んだのでご不満らしい。
ご機嫌取りに頭を撫でておく。
「そんなので誤魔化されない!」
そう言いつつ、僕にしがみついて来たので再度、口を重ねる。
もきゅもきゅもきゅもきゅ。
「アニメとかで衝撃的な敗北ラストとか、バッドエンドで必ず検索できる作品があるんだけど、それってそんな衝撃的な打ち切りじゃなかったら、誰の記憶にも残ってないかもしれない作品なのよ」
口を離すと紗奈は大人しくなり、話の続きをする。
簡単な子だとか……思ってないよ?
「むー、颯太がいじめる」
「いじめてない、いじめてない」
笑みを浮かべて紗奈の頭を撫でつつ、唇にキスを落とす。
「それは作品がつまらなかったから、ではなく?」
「スポンサーが撤退した大人の都合って。作品自体は人気だったみたい」
お金と作品作りは切っても切り離せない大事なことだ。
お金がなければ終わる、見ている人以上に作っている側は魂を粉々にされたような惨劇だろう。
そこで作品を壊す勢いでヤケになってしまう。
本来はそれで誰の記憶にも残らず酷い作品だった、で終わるが。
「人気があったのが良かったのか、悪かったのか、むむむ」
「良くはないんじゃないかな。きっちりした作品で終わりたかっただろうし」
だけど、その結果、そのアニメは伝説となった。
それはただのヤケだったのだろうとは想像にかたくない。
「どうしてそんな話を?」
僕が尋ねると、紗奈は目を逸らす。
「べ、別に? ナントナク……」
きっと続きを書くのを断念した話があるんだと僕は予測した。
それはそれで一つの決断だ。
仕方ないな、とため息をついて慰めるように紗奈の唇に唇を重ねた。
それから。
「んっむ」
舌も重ねる。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。
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