「書くのが面倒だと思ったら、それは面白くないということなのよ」
「書くのが面倒だと思ったら、それは面白くないということなのよ」
ベッドの上で紗奈はカクヨムで何かを読みながら唐突にそう言った。
「あー、まー」
僕の代わりに姫奈が返事をする。
ママがまた何か言ってるーとでも言ってるのかもしれない。
「どういうこと?」
「スランプとかでもそうなんだけど、これ面白いかなと思ったら、要するに人がどう思うかより自分の中では面白くないということなのよ」
「そうなんだ?」
「そうよ、自分の作品の1番の読者はまず自分なのだからね。だからこそそんなときは世界観をぶち壊すぐらい発想を自由にするのよ。そうすると動き出すものがあるから」
ふと紗奈を見ると目に涙を浮かべていた。
「どうした?」
紗奈は涙を拭きながら、スマホでカクヨムを見せる。
それは紗奈がずっと追い続けていた作品の一つ。
「これかぁー」
もうすぐ最終回を迎える長編小説。
「やっぱり魂を注がれた作品はいいわねぇ。読んでて……読めて良かった、そう思わせてくれるわ」
「そうだね」
それは生き様を描いた物語。
そして紗奈は両手を挙げる。
「私もこんな物語を書くぞー! 書くぞー!」
「あー!」
姫奈も一緒に手を挙げる。
「そうかそうか」
紗奈の頭を撫でつつ、唇にキスをする。
「……姫奈が見てる」
「……大丈夫、こちらをみていないタイミングだったから」
姫奈は眠くなったらしくうつらうつら……寝た。
姫奈をベビーベッドに優しく移し、紗奈が乗っているベッドの上に戻る。
なにかを言おうかと口を開いた紗奈だったが、なにかを言うことなくそのまま僕と口を重ねた。
もきゅもきゅ。
そうしてそのまま優しく紗奈を横たえさせる。
「……なんだか颯太の思う壺な気がする」
「気のせいだよ」
そう言いつつも、紗奈は僕にしがみつくように首の後ろに腕を回す。
そして僕らは再度、口を重ねて……。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。
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