2024年5月6日「むむむ、悩みどころね」

「むむむ、悩みどころね」

GW最終日をベッドの上でごろ寝で過ごす紗奈は唐突にそう言ったので、僕は紗奈の後頭部を撫でる。

「はいはい、よしよし」


いつも通りといえば、いつも通りである。

姫奈もベビーベッドですやすや眠っている。


ちなみに紗奈は僕の上に抱きつくように乗っかっている。

ちょっとモニュモニュした気分になる。

あとひと押しでオオカミになるのは仕方ない。


「えいっ」

そんな紗奈は僕のその気分を知ってかしらずか、口を重ねてきた。

もきゅもきゅもきゅもきゅ……。


……。


…………。


………………。


「あー、ラブコメでもないのにイチャイチャシーンってどうなのかなぁ〜?」

グデーンと僕にひっついて横になった紗奈はそう言った。


「ときどきはいいんじゃない?」

「むーん、私もそう思うけどさぁ〜。個人的にテーマ性のないラブコメ的ハーレムイチャイチャって……なんか冷めるというか」


「また身も蓋もないことを」

そういう気持ちもわからなくはない。


「……でも、ときどきはイチャイチャが欲しくもなるのよねぇ〜」

「ラブコメ的なハーレムのイチャイチャは紗奈が求めるような純愛イチャイチャとはなんとなく違うんじゃない?」


「そうね〜、だからこそ悩みどころなのよ。これってどうしてもハーレム分を無くすのはねぇ……」


そう言いつつ、紗奈はスマホでカクヨムを見せてくる。

それはこの間、完結したお師匠様のロボットファンタジーの話だ。


「……本当はね、これってヒロインは皇女様だけのつもりで他2人は匂わせだけだったんだけど、意外と心が近づいたのもあるのよ。

文字数縛りがあったから4人だけでの活動が多すぎたのも理由なのよねぇ〜」


「なるほどねぇ。そこまでくると今更、他の相手とくっつくというのも抵抗があると……」


「そうなのよねぇ〜、でもここからは恋愛ゲームではないのよねー。ここからは言ってしまえば恋ごときの気持ちで愛を誓われてもねー」


紗奈としてハーレムに納得がいかないものがあるようだ。

それもわからなくはない。


愛している人に自分以外の愛している人がいるとして、それを受け入れられるかという話だ。


狭量だと言われようと僕には無理だ。

もちろん紗奈にも無理だ。


紗奈はグリグリと僕の胸に顔を押し付ける。

「むー、答えは出てるけど答えが出ないわ」

「出てるんだ?」

「そうよ、この3人……いえ、4人の中で今更誰か欠けたりするのはないわ」


「んー、でも恋愛的な繋がりだけが関係の全てでは無いよね?」

「それはまったくその通りね。精神的な繋がりがもっと昇華するなら恋愛面以外の可能性も確かにあるわね……、むむむ、やはり答えが出ないわね」


むむむと唸り出す紗奈の頭を撫でると、エネルギー補給!と言って口を口で塞がれた。


もきゅもきゅもきゅもきゅ……。

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