2024年4月20日「ねえ、最終回の気配ってなんでわかるの?」

「ねえ、最終回の気配ってなんでわかるの?」


ベッドの上で姫奈と一緒にゴロゴロしながらスマホでカクヨムを見ていた紗奈が唐突にそう言った。


紗奈曰く、完結などすると完結ブーストといって、PVが跳ね上がることがあるそうな。

以前もファンタジー長編で終わりかけになるとPVが一気に跳ね上がったことがあるらしい。


ちなみに姫奈はハイハイの一歩手前の格好をして、ベッドの上を泳いでいる。

まったく進んでないけど。


「最新話まで読んだらなんとなく気配は感じるよね?」

「ううん、そうじゃなくて」

そう言って紗奈はスマホを僕の目の前に突きつける。


自然と顔も身体も近づくので、そのまま紗奈の口に口付けしておいた。

姫奈はこちらを見ずに泳いでいるので、そのまま軽く舌も絡める。


もきゅもきゅ。


「もきゅもきゅじゃなくてー、これ!」

紗奈はさらにスマホを僕の顔の前に持ってくる。

うんうん、始めからわかってるけどね。


それは最近、紗奈が書いているお師匠様の話だ。

もうじき最終回らしい。


「まだ戦いの途中っぽいけど最終回近いんだ?」

最後の敵らしきヤツは倒していないけど。

紗奈は首をちょっと傾げて。


「……ああ! それはね、これ以上になるともきゅもきゅしちゃうから」

「……えっと、もきゅもきゅするの?」


そんな展開にも見えないし、そもそもラブコメではない。

「……そりゃあ、愛し合えばもきゅもきゅはするでしょ?」


なに言ってんの、という顔で見られた。

それはネタバレではなかろうか?


……っていうか愛し合っているようには見えないので、随分先の展開のことなのかもしれない。


「まあ、僕に話す分にはいいけど、この会話をそのまま黒歴史の方で公開したらネタバレになるから気をつけるんだよ?」


「……ダイジョウブ。ファンタジーメインで読む人はこんなマニアックなラブコメの最新話とか見ないから、多分」


ファンタジーの方は好調らしく8000PVを超えたらしい。

このままいけば10000PVにまでいくかもしれないと。


「それにもきゅもきゅはせいぜい100PVだし……、タブン、ダイジョウブ。それよりも!

たくさん見てくれている人がいるけど、最新話自体を読んでいる人はその中でも1000人ぐらいなのよ?

残りの9000人はどうやって集まってくるのよ!」


「どうやってかなぁ……」

確かに最新話までの流れを見ないと最終回の気配はわからないはず……って。


「紗奈?」

「なぁに?」

「近況ノートにもうすぐ最終回って書いてるけど?」


紗奈は僕と一緒にスマホを覗き込む。

「……あっ!」


お仕置きとしてそのまま紗奈の口を奪ってやった。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。

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