アフター30話「こういうときは慌ててはいけないのよ」
「こういうときは慌ててはいけないのよ」
ベッドに2人で寝転んでいたときに紗奈は唐突にそう言って、僕にしがみついて口を重ねた。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。
紗奈は最後にぺろっと僕の舌を舌で舐めて口を離す。
「……ごちそうさま」
紗奈が目を見つめながらそう呟いて、どちらからともなく唇を一度重ねる。
「颯太に過去の女の話とか聞かされたら気が狂うかも」
「過去のなにも紗奈だけだけど?」
恋愛経験の少なさを嘆くべきか。
しかし紗奈は「ふふ〜ん、私も颯太だけ」と嬉しそうに笑う。
「こう〜ずーんと幸福感が身体の中を巡るわね〜」
『ずーん』と『幸福感』という言葉はあんまりマッチしていない気もするけど、言いたいことはわかる。
「正直ね、遊んでいる人がよく言うけど、『若いうちは遊んだほうがいい』って経験的には当たりだと思うけど、それで愛を永遠に見失うことはよくあること……ふっ、難しいものね」
紗奈が遠い目をしているが、とにかく僕といられることを喜んでくれているらしい。
「ところで!
カクヨムコンが終わったからお師匠様を再開したのよ!
でも露出がなかったから、急には星やらPVは増えないのよ。
……慌ててはダメよ、紗奈。クールにいくのよ。
調子に乗ってストック全てを連投して暴走してはダメなのよ!」
モヤモヤを吹き飛ばすように紗奈はバフバフとベッドを叩く。
「姫奈が起きちゃうから落ち着こうね?」
僕らの娘はスヤスヤと寝ている。
「あっ、ごめん。
とりあえず口塞いでくれる?」
そう言って紗奈はしがみついてくるので、僕はそのまま紗奈の口を口で塞いだ。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。
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