アフター28話「今日はなんにも考えらんないわ」

「今日はなんにも考えらんないわ」


紗奈はベッドに姫奈と一緒にのべーとのびている。

「今週も忙しかったからね」

そう言って、紗奈と姫奈の隣に座り紗奈の頭を撫でつつ、姫奈の小さな手をつんつんと突く。


紗奈はスマホをこちらに見せる。

「こえけんの結果が出たけど、今回も選ばれたのはなんというか個性的な感じね。

でも、カクヨムコンもテンプレ賀選ばれることを考えれば選ばれるのはそういうのってことで間違いないわね」


「まあ〜、そうだね。

好みかどうかは別にして、そういった基準はあるんだと思うよ」


面白いかどうかは紗奈が言うように、好みがあるから人それぞれだ。

僕も紗奈もASMRを聞いたことがないぐらいだから、そういう方向に特化した作品が合う可能性は低い。


「いっそ、あれね。

もきゅもきゅをはっきり書いた方が可能性があるんだろうなぁ〜とは、最初から思ってたけどね。

あははははははははは、あー……って、書けるかァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


紗奈が起き上がり両手を天井に伸ばす。

驚いた姫奈が泣きそうになったので、抱き上げてヨシヨシとあやす。


まぁ〜、もきゅもきゅまで描いて応募はさすがに勘弁してほしい。


そして紗奈は遠い目をする。

「さすがにエロで大人な小説を書いてさらす猛者のメンタルはしていないわ……。

原案エロ小説が書籍化された人のメンタルは鋼よね……」


「もきゅもきゅをカクヨム上で晒してるだけで、大概だと思うよ……」


だからこそもきゅもきゅは黒歴史なのである。


紗奈はちょいちょいと手を伸ばすので、そのまま口を重ねる。


もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。


口を離すと紗奈は言う。

「もきゅもきゅ違う……、姫奈」

手を伸ばしたのは、姫奈を抱っこするという意味だったらしい。

うんうん、もきゅもきゅせがむときと同じだから、区別がつけられないよね。


紗奈の上に姫奈を置くと、姫奈ものべっとして……寝た。


姫奈をそっと抱き上げてベビーベッドに寝かせる。

簡単な子だ。


紗奈はゴロンとうつ伏せになって、カクヨムチェックを再開。

「暇だとちょくちょく開いて、なにか更新してないかなぁ〜と思うけど、飢えているときほど更新がないのよねぇ〜。

カクヨムコン嵐は来週まであるから、どうしても隠れた良い作品が見つかりづらいのよねぇー」


カクヨムコン時期はどうしてもランキングで上位ばかりが表示されるので、テンプレ定番系を好まない紗奈がスコップするには難しいのだ。


「魂を震わせる作品が読みたい欲求が強いのよー。

疲れていると自分では書けないしー」

紗奈は足をバタバタ。

大人しくさせる意味で、そっと斜め上から紗奈の顔をこちらに向かせ、口を重ねる。


「あぐっ」

もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。

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