アフター23話「黒毛和牛どこいった?」
「黒毛和牛どこいった?」
紗奈がベッドに転がり足をバタバタさせながら、スマホでカクヨムを見ながらそう言った。
んで。
「あっ、あったあった。
なんだかイマイチ目立ってないわねぇ、黒毛和牛狙いの私からしたらありがたいけれど」
「どれどれ?」
ベッドに寝転がり、横合いから僕も紗奈のスマホを覗き込む。
当然、顔も近付くことになるのでそのまま紗奈と口を重ねる。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。
────しばらくお待ちください。
────
────
グデーンと2人でベッドに寝転びながら、再度、紗奈は細目でスマホでカクヨムを見る。
「カクヨムコンはさらに仕掛けてきたわよねぇ〜。
年末のトップ10だってさ。
これで導線のない作品はさらに押しやられるわね、でもそれもまた間違いではないわね」
「どういうこと?」
「カクヨムが英雄を『作りたい』のは間違いないとして、さらに以前告知もしてたけどこのカクヨムで作家が収益を得られるようにしたいそうよ。
それはつまり1部に集まっていた富……というかロイヤリティをさらに絞っていく狙いが見えるわ。
ただね、それである一定以上の『人気の』作家だけが残るようになるわけ。
そうしてカクヨムは『ワンランク上』の『人気作』だけが集まるサイトへと変化させようとする意図があるわ」
「人気部分を強調するね」
「そうね、その人気の基準はランキング基準だから、私が好きな作品群は淘汰される側になるのよ。
でも、カクヨムのみならず、ライトノベルは何もしなければ衰退するから、なんらかの手が必要だったのは事実よ。
その結果、消えゆく物語があるだけで」
遠い目で紗奈は天井を見る。
なんとなく僕も一緒に天井を見る。
「ねえ、颯太」
「ん?」
「……腰が痛いわ」
昨日はクリスマスである。
それ以上は語るまい。
「それ言う!?」
「ちょっと颯太とイチャイチャし過ぎたわねぇ〜、あははは」
紗奈は楽しそうに笑うが、どうせそれも晒そうとするに決まっている!
僕は紗奈の暴走を防ぐために、紗奈の口を口で塞いだ。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。
──なお、当たり前のように手遅れだった。
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