アフター22話「星クレ検証よ!」
「星クレ検証よ!」
紗奈はスマホ片手に唐突にそう言った。
「なにが?」
「さっきの話よ。
星クレを作品上に書いて星を貰えるようにお願いするの。
果たして効果があるのか。
さらに今は本当に能動的インプレッションを期待できるのか。
このもきゅもきゅ幼馴染の本来の目的、検証を試す日が来たのよ!」
そう言って紗奈は両手を挙げてバンザイした。
「それはいいけど、もきゅもきゅ幼馴染をカクヨムコンに参加させると、黒歴史がさらに明るみに出てしまうけど?」
すでに手遅れといえば、手遅れだけど。
「あっ……」
紗奈が考えてなかったとでもいうように目を丸くする。
あっ……、って紗奈。
紗奈は動揺しながら僕から目を逸らす。
「ま、まあいいのよ、きっと1万近くあるカクヨムコンの猛者たちの中に埋もれるから」
それはそれでどうなんだ?
ああ、でも黒毛和牛狙いならアリか。
「それでも万が一があったらどうする?」
カクヨムコンは文字通り万が一である。
「ふふん、颯太。
それは安心していいわ。
まともな編集ならこの作品が選ばれることはないわ。
ええ、万が一……は万を超えた作品があるわけだし、億が一でもあり得ないわ!」
まあ、確かに。
これはあくまで紗奈が好き勝手に書いてる日記みたいなもんだし、それはないか。
「それでも星はお願いするんだ?」
僕が尋ねると紗奈は深く頷く。
「もちろん、だって検証してみたいもの」
「うわぁ、相変わらず自由だな。
流石にカクヨムコンでこんな自由にした作品はないと思うよ」
紗奈は姫奈を起こさないように、パフパフと小さくベッドを叩く。
「なんでよ!
私は日常系ハッピー物語が読みたいのよ。
もっとそんな多様性が生まれてもいいと思わない?
思うわよね?
思うと言いなさい!」
そう言いつつ、ずいっと紗奈が僕の方に寄ってくる。
うわぁ、紗奈が暴走し出した。
きっともう眠たいのだろう。
赤ちゃんは眠いとぐずるのと一緒だ。
僕は近づいてきた紗奈を抱き抱え、優しくベッドに横にさせる。
「あれっ?」
急に横にされて、紗奈がキョトンとしたところに、口を重ねる。
もきゅもきゅ。
ひとしきりもきゅもきゅして、口を離し。
「さ、寝るよ」
「……はーい」
素直に返事をしたので、僕らはそのまま横になった。
「おやすみ、紗奈」
「おやすみ、颯太」
そうして、僕らはもう一度口を重ねて、眠りについた。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。
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