アフター19話「中途半端は良くない!」

「中途半端は良くない!」


姫奈を寝かしつけた後、ベッドの上でカクヨムを見ていた紗奈は唐突にそう言った。


「時々、言っているよね、それ」

「そうね、主にランキングの罠にハマってテンプレを見てしまった時とか心が折れるわ」


わりといつもの紗奈な気がする。


「私はね、折れる時はこう〜パリンって感じで折れて、やーめたと振り切るタイプなのよ」

「そうだね」


ハマるときはどっぷりハマるけど、振り切るとスッキリと見なくなるそうだ。


「今、それに近いわ」

「何が?」

「カクヨムが」

「あー、まあ仕方ないんじゃない?」


無理をしたところで良いことはない。

「だけど、まだその刻ではないわ!」

「うん、どっち?」


「多分、飽きてるわけじゃないわね。

お気に入りの作品も毎日更新があるし。

ただカクの方はカクヨムコンの嵐の中だから、書かないほうがいいかなぁ〜とは思ってるわ。

これは私がなぜ書くのかと向き合うところね」


「そうなんだ」


そうとしか言えない。

だからといって、僕がどうこうと言う気はない。

紗奈が書きたいなら書けばいいし、書きたくないならやめればいいのだ。


「……こういうときは休めばいいのよ。

運気が下がっているときは抵抗しない!

暴れない!

大人しくする!

これが鉄則よ!」


それには僕も深く同意する。

「その通りだね。

木曜日にいつもそんな感じなのに、今日は月曜日からだね?」


紗奈はベッドにグデーンと横たわる。

「魂を注いだ作品が読まれないと、やっぱりキツイのよ〜。

あっ、もきゅもきゅ幼馴染は別よ?

むしろこれは読まれてはいけないわ……」


「わかってるなら、なぜ書く……」


「心が叫びたいからよ」


「どっかのアニメみたいなことを」

そう言いつつ、僕は紗奈の隣に座り紗奈の口に口を重ねる。

もきゅもきゅもきゅもきゅ。


口を離したあと、紗奈は僕にスマホを見せ言った。


「……そういえば、寝取りの純愛ものでもうじきこの2人がこうなってああなるんだけど。

ずっともきゅもきゅし出すんだけど、どうしよう」


「いや、どうしようってなんで、もきゅもきゅすんの?」


「愛し合う2人はもきゅもきゅするものでしょ?」

「するものでしょと言われても、普通はもきゅもきゅまではしないんじゃないかな?」


紗奈の書くラブコメは大体、後半にもきゅもきゅしちゃうよね?


「これは運命なのよ!

愛を追求するならもきゅもきゅは避けられないのよ!!」


「うんうん、だから紗奈の作品はテンプレから縁が遠いよね」

「颯太〜!

言うてはならんことを!」

「はいはい」


いつも通りの流れなので、僕は迷わず紗奈の口に口を重ねた。

「はいは……んっぐ」


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。


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