アフター10話「さっきまでカクヨムで鈍感な男と幼馴染のラブコメ見てたんだけど」

「さっきまでカクヨムで鈍感な男と幼馴染のラブコメ見てたんだけど」


僕は寝転んでカクヨムを読んでいる紗奈に唐突にそう言った。


「颯太がそういう話するのは珍しいね?」

「ふと言ってみたくなった」


紗奈はゴロゴロと転がり、僕に絡みつくように上に乗った。

「それで?」


とりあえず柔らかく温かい紗奈を抱きしめて口を奪っておいた。


もきゅもきゅ。


「鈍感な男でラブコメ物が多いけど、やっぱりアレだよね?

手を出しちゃうと終わっちゃうからだよね」


「そうね。

少なくともジレジレは終わるわ」

ふむ、と紗奈は何かを考え込む。


「どうした?」

「……だからこそ、別れたり寝取りからスタートするのかしら?

すぐに手を出さない口実を作るために」


「あー、なるほど〜」

確かに言ってしまえば失敗の後はすぐにチャレンジするのは難しい。


どうして寝取りからスタートするのかと思えば、そういうワンクッション置くための舞台装置だったのだ。


「転生と一緒ね」

「そうだね、転生と一緒だね」


「そんな中、寝取り側のラブコメをスタートしたわ」

「相変わらずテンプレを外すよね?」


「でも純愛なの」

「そんなこと言ってたね、成り立つの?」

「さあ?

私は純愛だと思ってるけど。

でも寝取りは私の中で許されざる罪だから序盤はとにかく苦しむわ。

そして贖罪が済んだ暁にはとにかくイチャイチャするの、そう、イチャイチャが見たい!」


紗奈は両手を天井に伸ばしてイチャイチャを訴える。

うん、いつも通りの紗奈である。


「そんなわけで颯太とイチャイチャしておくわ」

「はいはい」

「はいは一回!

颯太、もきゅもきゅしよ?」

「……はい」

素直にねだられると、とても弱い。


そうして僕らはまた口を重ねる。

もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。

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