アフター9話「ドロッドロのハッピーエンド恋愛物が読みたい!」

「ドロッドロのハッピーエンド恋愛物が読みたい!」


紗奈は姫奈を寝かしつけたあと、カクヨムを開く前に唐突にそう言って、静かにベッドをバンバン叩いた。


「相変わらず唐突だねぇー」


さらに無言でバンバンとベッドの上の自分の隣を静かに叩く。


来いということらしい。


「はいはい」

隣に座ると抱きつき、前置きもなく唇を重ねてきた。

もにゅもにゅもにゅもにゅちゅっ。


今日は舌は重ねず唇を柔らかく擦り合う。


……でも我慢できずに結局、口を重ねる。


もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。


そっと口を離す。

「ふ〜、補給完了〜」


よしよしと紗奈の頭を撫でる。


「ドロッドロに溶けてハッピーエンドの恋愛物が少ないと思わない?」


「う〜ん、特に恋愛物を探してないから分からないなぁ。

探してみたら?」


「恋愛やラブコメは好みの話を探すのはファンタジー系より難しいのよ」


「そうなんだ?」

なにかあるのかな?と僕は首を傾げる。


「一見、ラブコメはカクヨムでファンタジージャンルに次ぐ人気を誇る……と言われている」

「違うのかい?」


「事実よ。

でもそれ以上にカクヨムではテンプレもしくは流行り物がランキングを制覇するのよ。

もちろん、幼馴染系テンプレが好きな私としてはそれが混ざっている分にはいいのよ。


でも、実際にはザマァとか裏切りのあとの恋愛とかが大半で、それはこう〜、ちょっと好みじゃないというか……。


とにかく!

一途で胸が苦しいけれどドロッドロに幸せなハッピーエンド物語が見たいのよ!!」


たしかにあまりない気がするなぁ。

テンプレはファンタジーもそうだけど、どうしても物語の枠というものを決めてしまう。


どうしても感情を震わせる話にならないのだ。

テクニックによってある程度は瞬間的に感動はさせられるが、それはネット向けの瞬間だけだ。


じっくりねっとり読みたい紗奈や僕みたいなタイプには向かない。


「言ったらちょっとスッキリしたわ。

颯太ともうちょっともきゅもきゅして回復することにするわ……んっく」


紗奈がそう言ったので、すかさず紗奈の口に口を重ねた。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。

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