アフター7話「書いていると驚くほど、なにかのゲージが減っていくのよ」
「書いていると驚くほど、なにかのゲージが減っていくのよ」
姫奈をあやして寝かしつけ、ベビーベッドにそっと寝かした後に紗奈は唐突にそう言った。
「そうなんだ?」
それは書いている人にしかわからない感覚だろう。
「ほら、昨日一緒にロボットアニメ見たでしょ?」
「見たね、結構面白かったね」
「うん、ラストのあのヒロインが別の男と結婚したのはモヤモヤしたけど、全体的に非常に良かった。
良い作品を見るとスイッチが入るから、一気に書きたい欲求が出てラストはこのモヤモヤを吹き飛ばす展開に……とか考えながら書いたわ」
「そりゃよかった」
楽しんで書くのが1番だ。
「するとね、感じるの。
こう……ゲームでボタンを押してダッシュしている間に体力ゲージがグングン減っている感覚が。
それがゼロになるとヘロヘロになるの。
ヘロヘロになって、アイデアも流れも文章も続きができているのに指を動かしたくないの。
それを無理して押しているといつのまにか文章に辻褄が合わなくなって、アレ?せっかくの流れがなんか面白くないとかなっちゃうの!
そうなると次の面白い作品を読むか、体力ゲージが回復するのを待つしかないの!
基準的には颯太でもきゅもきゅエネルギーを回復5回分ぐらい。
……そこまでもきゅもきゅすると、書くこと自体忘れてイチャイチャしちゃうけど」
とにかく今日の紗奈がエネルギー切れを起こしていることはわかった。
「ほい」
手を広げて紗奈を迎え入れる準備。
紗奈は大人しく僕の腕の中に飛び込み、僕らはそのまま口を重ねる。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。
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