アフター6話「ねえ、恋を頑張るって……なに?」
「ねえ、恋を頑張るって……なに?」
ゴロンとベッドの上でマンガを読んでいた紗奈は唐突にそう言った。
「頑張る?」
「うん、なんだろう?
……ていうか、恋って頑張るものなの?
堕ちるもんじゃないの?」
「あー……」
言われてみれば、である。
イメージはわかる。
男よりもむしろ女が恋のために自分磨きをするときに使う言葉だ。
紗奈はマンガを指し示す。
「このマンガにも書いてあるし、この間はラジオでも『今日も1日恋に仕事に頑張っていきましょう!』とか言ってたのよね。
それを聞いて、んん?と思って」
本当に気まぐれにだが、僕らはラジオを聴くこともある。
そのときに聞いた話だ。
一緒に聴いてたはずなのに、僕はスルーしてたなぁ。
ラジオDJの挨拶の定型分みたいなものなので流してた。
「そもそも恋ってそんないいもの?」
「紗奈は恋嫌いって言ってたもんね」
「恋なんて嫌いよ!」
なお、紗奈的に恋と愛は違うとのこと。
「うーん、なんというかそういう時って、恋のドキドキワクワクを楽しむとかなんとか言うんだけど、私からするとその先にある結婚して一緒にいる時間の方が大事なわけよ。
一時的にドキドキワクワクしてもなぁ……とか思っちゃうわけよ!」
紗奈は握り拳を高くあげて熱弁をふるう。
それがまあ、世間一般的な若者女子のセリフとは多少離れていることは事実だろう。
「こういう考えの人は一定数いると思うわよ?
そういう人は主張しないだけで」
「そうなのかぁー」
そうかもしれないとも思う。
他の人に詳しく聞いたことはないからわからないが。
「知らないけどね!」
「知らんのかい!」
紗奈は僕によじよじと近寄り、抱きつきながら話を続ける。
「実際、人それぞれよ。
キスが浮気じゃないという人もいるし、げっろげろの寝取り浮気物語を青春と言い張る人もいる。
その人にとってはそれが事実なんだと思う。
テンプレ好きな人もいれば、テンプレは面白くないと思う人もいる。
もしかすると幼馴染モノはもういいよ!と主張する人すらいるかも!
ナンテオソロシイ」
紗奈はさらににじりより、もう僕の口元に自分の口を寄せ切っていて吐息が僕の唇にかかる。
「だからその中で、自分がどう思うのか、どう判断するのかが大事なのよ」
「……いいふうに言っているけど、木曜日だから紗奈、暴走しているよね?」
「……それは言ってはいけないお話よ。
口を塞ぐからね?」
そう言うとと同時に紗奈は僕の口に口を重ね、舌を絡ませた。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。
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