アフター5話「書きたいけどかけないのよぉぉ!」

「書きたいけどかけないのよぉぉ!」


紗奈がカクヨムを見ていると思ったら、唐突にそう言って頭を抱えた。

すると姫奈が泣き出した。


「おー、よしよし」

僕は姫奈をベビーベッドからそっと抱え出して、ゆっくりゆらゆら、Mの字を描くようにゆ〜っくり。


それを繰り返すと姫奈はすやすやとまた眠った。


しばしゆらゆら〜。


大丈夫そうなので、そっとベビーベッドへ。

「ご、ごめん……」

「うんうん、いつも通り暴走すると姫奈が泣いちゃうからね」

そう言いつつ、僕はベッドの上の紗奈の隣に座り、紗奈の口に口を重ねる。


もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。


しばし……。


……。


「それで書きたいけど書けないとは?」

紗奈と一緒にベッドでごろ〜んと転がりながら僕は尋ねる。


紗奈は僕にひっついて、ふにふにと甘えた後に顔をあげて言った。

「書きたいけど書けないのよ!」

「うん、さっき聞いた」


紗奈はスマホを取り出し、僕にカクヨムを見せる。

そこには紗奈が今書いている3人のポンコツ娘と師匠にされたライバルキャラのお話だ。


「なにか悩んで書けない?」

「違うの。

ここからの展開のアイデアもあるし、書き出したら書けるけど、書く気が起こらないの。


しかも、このポンコツ娘筆頭がどんどん暴走するからいくらでも書けそうなんだけど、なんだかそれでいいのかと思って書けないのよ!」


うん、よくわからない。

だが、このパターンは覚えがある。


「紗奈、疲れているんじゃない?」

「まだ火曜日なのに!?」

「いや、うん、曜日関係なく紗奈は疲れてたら書けないよね?」


∑(゚Д゚)みたいな顔で驚く紗奈。


「私、疲れていたんだ……」

「うん、花粉も飛んでるしくしゃみもしてたのと、急な気候の変化が起きているからね。

大学でも疲れたなぁと言ってた人多いよ?」


季節の変わり目は風邪もひきやすいから要注意だ。


「そうね、休むことにするわ。

もきゅもきゅ幼馴染を書いて」


「……それは書けるんだ?」


「むしろ疲れているからそれを書くのよ!」


そう言って、スマホを手に取り……。

紗奈はスマホを枕の上に置き、僕の身体の上に乗って……。


「少しもきゅもきゅしてから書くわ」

「……ああ、うん」


そうして僕らは再度口を重ねる。


もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。


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