アフター第2話「やっぱ2年ぐらい、かなぁ〜?」
「やっぱ2年ぐらい、かなぁ〜?」
ベッドの上で娘の姫奈をあやしながら、紗奈は唐突にそう言った。
「なにが?」
「カクヨムでの平均カク期間」
そう言いつつ、すぴすぴと眠った姫奈をゆっくりとベビーベッドに下ろし、起きてぐずらないようにお腹を軽くぽんぽんしてあげている。
「随分前に1年ぐらいって言ってなかった?」
「アレはTRPGの冒険者の寿命。
ずーっとカクヨムで色々見てきたけど、書籍化された人でも1年から2年延びる程度ね。
よっぽど人気作を出した人以外はそんなものね。
例外的に4、5年とか、もっとすごい人は7年とか神の領域にいる人もいるけど」
紗奈曰く、あくまで主観とのこと。
「マクロとか組んで統計出している人ならわかるでしょうけど、私はそういう知識ないし。
なにより肝心なのは、お気に入りの作品がまた更新されなくなって悲しいなぁ〜ということかな」
「それはもう仕方ないね。
人にはそれぞれ事情があるし、その人生の中で書き続けていくのはかなり難しい上に、書き続けたから書籍化などで拾ってもらえるわけでもない」
これが確かな事実だ。
むしろ最初の勢いだけで流行に乗った方が選ばれることはよくある。
流れみたいなものだ。
「私もついにカクは3年。
仙人の域に到達したわ」
「3年で仙人なんだ……」
姫奈のお腹をぽんぽんしていた紗奈だが、すぴすぴとベビーベッドで姫奈が眠りについたようなので、ベッドにゴロンと転がって僕を手招きする。
僕もお疲れと紗奈の頭を撫でてから口付けをする。
もきゅもきゅ。
姫奈の寝かしつけは交代で行っているが、まだ夜泣きも始まっていないので楽なものなのだろう。
「さすがに3年ともなると書くのをやめてるかなぁ〜と思ってたけど、まだ書いてるわね。
いつまでも書くとはいえないけれど、書きたいと思う内は書くことにするわ」
「まあ、それは無理しないようにしたら良いと思うよ」
たとえば書籍化目標の人などは3年を耐え切れる人はあまり多くない。
ただでさえ、書くことはそこ人生を打ちし出している。
つまり魂を注いでいるのだ。
結果が出ないと続けられるものではない。
結果とは書籍化だけではなく、評価や交流だったりするのでそれで魂エネルギーが回復すれば書き続けることができるのかもしれない。
「とりあえず今日は颯太ともきゅもきゅして寝るわ、おやすみ」
「うん、おやすみ」
そう言って僕らは電気を消して、また口を重ねた。
もきゅもきゅ。
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