第69話「今日はあかん!あかんのよぉお!」

「今日はあかん!あかんのよぉお!」


紗奈は唐突にベッドの上で両手を挙げてそう言った。


「あかんのよ、って独特な言い方だよね?」

「そげんことが問題じゃなかとですたい!」

僕がそう答えるとペシペシと紗奈はベッドを叩き訴える。


「方言混ざりまくってない?」

「そういうことでもないのよ!」

「じゃあ、どういうこと?」


紗奈の隣に座り、紗奈のお腹を撫でる。

もうじき臨月であり僕らの子が産まれる。

僕らは親になるのだ。

なんとも深く感じ入るものがある。


僕がお腹を撫でると紗奈は目に見えて大人しくなった。

2人で紗奈のお腹を撫でつつ口を重ねる。


もきゅもきゅ……。


…………。


しばしイチャイチャしたあと。


「颯太、疲れたわ」

「疲れさせちゃったね、ごめんね?」

ベッドの上で隣に座る紗奈の頭を優しく撫でる。


「そういうことじゃないわよ。

週の半ばだから疲れて小説が書けないわ」

「週半ばって……、まだ火曜日だけど?」


「気力が無くなると火曜日でも疲れ切っちゃうのよ」

「それはまあ、そうだね」

とりあえず紗奈から口を重ねてきた。


もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。


口を離すとグデーンと僕にもたれかかる紗奈。


「今日はもう無理な日よ。

夜に気力が回復したらなにか書くわ」


再度、紗奈の頭を撫でる。


「まあ、無理しないように」


ようするに、時間が空いたのに気力がなくて小説が書けないことがアカンということだったらしい。


「颯太エネルギーを補充するわぁ〜」

そう言って、また再度、僕らは口を重ねた。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。

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