第67話「空っぽなのよぉぉおお!」

「空っぽなのよぉぉおお!」


さっきまで眠そうにベッドの上に座りながら、スマホ片手にうつらうつらしていた紗奈だけど、ハッと起きて唐突にそう言った。


「なにが空っぽ?

冷蔵庫にプリンは買ってあるよ?」

「わーい、あとで食べよー。

口移しする?」

「プリンの味わいがなくなるから、無しで」


「はーい」

そう答えて、紗奈は僕の唇にキスをして、そのまま舌を重ねた。


プリン無しで口移し……ってもきゅもきゅか!


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅちゅ。


口を離すが名残り惜しかったのか、数度唇を重ねながら抱きついてきたので、しばしそのまま……もきゅもきゅ。


「それでなにが空っぽ?」

尋ねると、紗奈は僕にのべーともたれかかりながら。

「アイデアがねぇ〜、キラッとひかるアイデアが〜浮かばないわけじゃないけど、燃えないのよ」


「燃えないのか〜」

「そう、燃えないの」


うん、なにが?


「書こうとする作品はあるけど、魂が震えないからこんなときに書いても欲しい作品にならないのよ。

でも書かないと進まないし、そう心が空っぽに渇いているの!


こんなときは面白い話を読むのが1番良いんだけど、中途半端な作品では渇いた心は満たされないの!

ギブミー魂を震わせるお話!」


うんうん、いつもの紗奈だ。

もっといえば疲れているときの紗奈はこんな感じが多い。


「あとちょっと眠たい」

「寝ようか」

「一緒に寝よー」

「はいはい」

「はいは一回!

ん、もきゅもきゅ」


そうして僕らはベッドに横になりながら口を重ねた。

もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。


寝れなくない?


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