第65話「お涙頂戴なんて認めないわよぉぉお!!」
「お涙頂戴なんて認めないわよぉぉお!!」
紗奈は両手を挙げて唐突にそう訴えた。
本当にいつも通り唐突ではあるが、いつも通りになにかカクヨムで読んだのかな?
「特になにを読んだわけでもないけどね!」
「そうなんだ」
いつも通りの思いつきらしい。
「ただほら、お涙頂戴系はよく書籍化されるし人気だから、納得いかないという話をしたかったのよ」
「うーん、まあ感情にクルものはあるよね」
「あるのよ。
私はお涙頂戴ものを読むと必ず泣くわ。
それはもう大泣きよ。
感動というか感情は激しく揺さぶられやすいから小説の良さを引き出すのだけど。
悲しいのよ」
「悲しいね、お涙頂戴しちゃうからね」
余命何ヶ月とか聞いただけでもうダメだ。
僕も紗奈も号泣だ。
感情移入しちゃうタイプだから仕方ない。
「いつかハッピーエンドで大泣きさせる話を書きたいわ。
それを目指して書き続けてるけど」
それは設定を余程しっかりしておかないといけない。
少なくとも単純なネット小説での盛り上げ方とかでは得られないものだ。
「難しい道だね」
「そうよ、はてしないわ。
でもだからこそ小説は良いのよ。
それが描けるのが小説なのだから、私はそういうのが読みたいし書きたいわ」
「そうか、そうか。
ところで紗奈。
さっきからスマホをカチカチしてるけど、まさかもきゅもきゅ幼馴染を……ング」
黙るようにと、紗奈に口で口を塞がれる。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。
完結したんじゃなかったのか!?
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