第64話「37万PVいっちゃったわ」

「37万PVいっちゃったわ。

ひゃっほい\( ゚д゚)/」


紗奈がスマホを枕の上に置いて、そう言いながら両手を広げる。

そしてなぜか上半身だけでクネクネダンス。


一応、僕も一緒にクネクネしておいた。


「もきゅもきゅ幼馴染が?」

「もきゅもきゅ幼馴染が」


それは……喜んでいいのか?


「これもねぇ〜、ただのストレス発散と日常系を誰かに描いて欲しい願いを込めているだけの作品だから、ここまで行くとは思わなかったわ。


なにが悲しいって新作小説よりも1日のPVは大きいのよ」


「そりゃまあ、500話もあるからね……」


文字数も50万字超えの大台だ。

よくもまあ、ここまでさらけ出したもので。


2年前に紗奈と一緒に暮らし出して、720日後に結婚することを誓ったことから紗奈が描き始めたんだけど、まさか2年も超えてまだ書くとは。


「……っていうか最終回、何回目?」


「……多分、3回?

ちなみにもきゅもきゅ幼馴染を再開しているつもりはないのよ?

ストレスが溜まりすぎると、つい書いちゃうだけで……」


紗奈は僕から目を逸らす。

あえてなにも言うまい……。


「まあ、それはいいけどさ。

紗奈は次は長編ファンタジー書くって言ってなかった?

昨日からギャグファンタジー書いてるみたいだけど、コレがそう?」


以前、書いてた話のリメイクだ。

欲望を解放とか書いてるけど……。


紗奈はまた目を逸らす。


「チガウヨ。

それももきゅもきゅ幼馴染と同じ感じで、ストレス溜まったからつい……」


やらかしちゃった、と。

いつも通りといえばそうである。


「私のキャパシティはラストまで設定を固めた長編と脳みそ空っぽで書けるものと、あとは合間に次のアイデアプロットまでよ。


……だけど、コンテスト用1つと長編のプロットともう一つリメイクともきゅもきゅ幼馴染と、今回の欲望解放ファンタジーリメイク。


あ、寝取り浮気の純愛はもうじき10万字まで書いてるから、カクヨムコン辺りで投稿しようかと……」


「よくわからないけど、紗奈の限界を超えたのはわかった」


「ふっ、そうとも言うわね……。

今は長編ファンタジーのプロットは完全に止まっているわ。

私の場合、同時進行すると全て一斉にストップするから、昨日欲望ファンタジーをリメイクしたのは、ただの暴走よ」


ああ、うん、自信満々に言うことじゃないよね。

とりあえず紗奈は暴走中なので、大人しくさせるために僕は紗奈のあごを掴み、そのまま口を重ねた。


「んっつ、颯太ぁ……」


もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。


とりあえず紗奈を休ませよう。

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