第63話「ああ!もう我慢できない〜!」

「ああ!もう我慢できない〜!」


紗奈がベッドの上で頭を抱えながら、いつも通り唐突にそう言った。


「どうした〜?」


僕が尋ねると紗奈は手招きするので、ベッドに座ると一生懸命押し倒そうとする。

寝ろということらしい。


ゆっくりと倒れつつ、紗奈を引き寄せると紗奈も抵抗なく僕に抱きしめられる。


紗奈はそのまま上から僕の口に自分の口を重ねる。


もっきゅもっきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。


「んっ……」


スイッチが入ったらしく、そのまま……。


……。


…………。


ベッドの上でしばし休憩。

「それでどうした?」

隣で紗奈の頭を撫でつつ尋ねる。


紗奈はスマホを操作し。

「んっ」

カクヨムを見せる。


「あー……、このリメイク更新したんだ……」

「つい、やってしまったわ。

勢いだけなので、その後の展開をじっくり続ける自信はないわ!」


それはクズ男のギャグ小説?

なんだかそんな感じの話。


「なにかを!

なにかもう好き勝手やる話を書きたくなったの!

現実のこのモヤモヤを吹き飛ばす、そんななにかを!!

恋愛物は気分が乗らなかったし」


「公爵奥様の話は恋愛ものだったんだ……」

内容はギャグにしか見えない……。


僕の言葉に不思議そうに紗奈は首を傾げる。

「幼馴染と結婚しているんだから、恋愛ものに決まっているわよ?」


ああ、うん、紗奈的にそうだよね。


「でもね、総合的に見て私は疲れているのよ」

「あ、自覚あったんだ?」


「そうよ!

だから颯太、もきゅもきゅして今日は寝るわよ!」

「はいはい」

「はいは一回……んっつ」


もっきゅもっきゅもっきゅ……。

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