第61話「しびれる話を求めているときは見つからないものなのよねぇ〜」

「しびれる話を求めているときは見つからないものなのよねぇ〜」


紗奈はスマホでカクヨムを見ながらそうぼやいた。


「ねえ、紗奈。

もきゅもきゅ幼馴染、更新再開してるよね?」


「ききき、気のせいじゃないかなぁ〜!?」

「いや、気のせいというか……」

目の前で見ているのだから誤魔化しようはないのだが。


「そんなこと言う口はこうよ!

……はい、こっち来て颯太」


こいこいと手招きする紗奈。


「はいはい」


「はいは……むぐっ」


もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。


「ふー、つまり私にストレスが最高潮に高まったら、自然ともきゅもきゅ幼馴染は更新されてしまうのよ。

仕方がないことなのよ!」


「うん、まあ、そうなんだろうね。

紗奈が良かったら良いんだけど」


紗奈は肩をすくめ両手を広げる。


「どうせ、今日みたいな日は更新したくても良いアイデアも、燃える展開も浮かばないから、文章の練習がてらもきゅもきゅ幼馴染でも更新しておこうと思って。

エネルギーを補給してるのよ」


「そうなんだ。

まあ、木曜日は大体、紗奈はこんな感じだよね」


そこで紗奈はようやくハッと気付いたようだ。


「……ほんとだ」

「気付いてなかったんだ……?」

紗奈はこくりと頷き、僕に擦り寄る。


「颯太ぁ〜エネルギー回復〜」

「はいはい」


「は……もぐっ」

言い返される前に口を口で塞ぐ。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る