第59話「枠に収まっているとつまらないのよ!」
「枠に収まっているとつまらないのよ!」
先程まで買ったばかりの漫画を読んでいたはずなのに、昨日に引き続きベッドの上で僕の服に頭を突っ込みながら、紗奈はなにやら主張し出した。
「さ、紗奈?
またなにやってんの?」
防音対策!?
僕が慌てながら問いかけると……。
お腹に口を当ててぷく〜と息を吹きかけてきた。
生ぬるい息が僕のお腹を刺激する。
「くすぐったい!」
服に潜り込んだ紗奈を服の中から追い出し、反撃とばかりに口を奪う。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。
んで、紗奈はベッドの上でぐったりしながら、話を続ける。
「面白い漫画を見たんだけど、やっぱり枠に収まった話は面白くないのよ。
そもそも、転生も掲示板も初っ端の初めての話は面白いけど、流行りになった時点で枠に収まっちゃうから面白くないのよ。
どれほど表面変えてもね」
ぐったりしながらも話す紗奈の頭を撫でながら僕も頷く。
「なるほど。
それはあるね。
人は慣れる生き物だから」
「それでね、私勘違いしてた」
「なにを?」
「面白い話って工夫とかアイデアじゃないってこと」
「うん?」
「根本をひっくり返すことよ」
よくわからなくて首を傾げる。
「たとえば転生無双の枠の中では、ひと工夫とか、ちょっとしたアイデア程度では、どこまでいってもテンプレの枠内なのよ」
それはなんとなくわかる。
ちょっと努力して最強になった後で違い展開とか、転生した後で違う展開とか、どこまで行っても……、まあ、それはともかく。
「土台設定自体にひとひねり欲しいということかな?」
「そうそう。
んー、でも今日は夜遅いしこの話はまた今度。
……颯太、もきゅもきゅ」
そう言って話を切り上げ、紗奈は手を伸ばして、もきゅもきゅをせがむ。
「はいはい」
「むー、はいは2回でもいいけど、もきゅ……んっ」
僕は紗奈の言葉を遮るように口を重ねて舌を絡ませた。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。
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