第48話「いえ、ほんとになんで?GPSついてるわけでもないのに」
「いえ、ほんとになんで?GPSついてるわけでもないのに」
僕は今、紗奈にベッドの上で横に寝そべるように添い寝で拘束(?)されている。
事は今日のこと。
大きなショッピングモールに買い物に出かけたときのこと。
そのショッピングモールは東、西、中央の3つの建物がくっついた大きなものだ。
そのショッピングモールは過去に2、3回行ったことがある程度でそこまで慣れた場所というわけではない。
そこで紗奈と僕はそれぞれの買い物のため別行動をすることにした。
紗奈は服屋で僕は本屋。
買い物が終わったらスマホで連絡を取り合い合流予定だった。
僕は目的の本屋で目的の本を即座に買って、少し雑誌などを目を通したけど手持ち無沙汰になったので、なんとなく紗奈を感覚だけで探すことにした。
一階の西館の端からスタートして、僕はなんとなくで中央の建物に真っ直ぐ向かう。
そちらから紗奈がいる感覚がしたから。
吹き抜けの中央広間でなんとはなしに3階の右手側から目的の人がいる感覚がしたので、そのままエスカレーターに乗り3階へ。
東の建物の通路、右手と左手斜め方向、それに西向き側の通路のうち、右手に迷わず進むとユニ◯ロから出て東の建物の通路へ向かおうとする紗奈を見つけた。
理由はない。
なんとなくそちらに紗奈がいる気配がした、それだけ。
「なんで?」
「さあ?
居そうだったから」
それ以上なにも言えない。
だって事実だから。
部屋に帰ってきて、紗奈は首を傾げてそのことを尋ねてきたというわけだ。
「……愛、かなぁ?」
「愛かもね」
自分でも一種の特殊能力的な気がしなくもないが、そうだと言われれば、やっぱりそうなんだと思う。
「……颯太への愛はあるけど、私は同じこと出来ないと思うわ」
「やっておいてなんだけど、普通はできないことだからできなくていいと思う」
そんな意味もなく、ちょっと不思議な話だが当然、この話にとくにオチはない。
なので、そこで僕らはいつものように口を重ねてこの話を終わった。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。
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