第41話「閃いた!これよ!これなのよ!!」
「閃いた!これよ!これなのよ!!」
紗奈はベッドの上で漫画を読んでいると思ったら、唐突に立ち上がり本を掲げてそう言った。
「なに?」
すると紗奈は3秒ほどそのままの体勢で固まってから……ゆっくりと座り直した。
「こうしてアイデアは霞のように消えていくのでした……」
「あるあるだよね」
紗奈はコテンと横になる。
「日常系の面白さは、ネタの面白さ。
私たちのようにもきゅもきゅ生活は穏やかで平和だけど、それだけでは笑いの神は降りてこないのよ……」
「ああ、うん。
僕らの日常を晒しているだけだしね」
特に笑いを追求しているわけでもない。
僕は紗奈が可愛くて笑顔になるし、紗奈もどことなく毎日楽しそうだけど。
「……というわけで、今日はネタを追求してみるわ!
たとえば、私たちが夫婦ではなくただの幼馴染でたまたま私が部屋に遊びに来ていたとしたら!
はい、どうぞ!!」
「いや、はいどうぞと言われても……」
どうしろと?
すると紗奈の方が動き出す。
「ゴロゴロ〜、ゴロゴロ〜」
ゴロゴロする演技らしく、ベッドで転がる。
いつも通りの紗奈である。
「颯太ぁ〜、ちょっとこっち来て〜」
「んっ?」
呼ばれるがままにそばに行く。
流石にベッドの上で隣に座ったりはしない。
ただの幼馴染でも同じベッドに入ってしまうと危険域……レッドゾーンだ。
もう子供ではないのだから、欲望を我慢できるものではない。
紗奈は隣に座った僕に手を伸ばしてグイグイ引っ張る。
なんだろうと思いつつ引っ張られるままに。顔がすぐそばに近づいたところで、紗奈が僕の唇を奪う。
それだけに飽き足らず、そのままグイグイと舌を侵入させてきたので、遮ることなくその舌を絡ませる。
もきゅもきゅ、もっきゅもっきゅ。
もきゅもきゅしながら思う。
ただの幼馴染ゲームはもう終わりで良かったのだろうか、と。
そのまましばし互いの口を味わう。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。
ふー、と紗奈は口を離しその口元をワイルドに腕でぬぐう。
「これで責任取って結婚してもらわないといけないわね」
紗奈としては幼馴染ゲームの続きのつもりなんだろうか。
「既成事実が出来たわ!
あとは婚姻届を書かせるだけよ!」
「ああ、うん」
紗奈は演技じみた不敵な顔で笑う。
「ふっふっふ、もう逃してあげないわよ?
颯太は私の夫になるんだから!」
もし、ただの幼馴染だったとしてもそのまま既成事実をつくって結婚を迫ろうとする魂胆だったらしい。
僕は紗奈の頭を撫でておいた。
「とりあえず……既成事実というからには身体の関係にもなっておこうか。
そのまま僕らの子供ができるということで」
僕は紗奈を優しく横にさせる。
「ヒョッ!?
颯太!?
幼馴染を孕ませる気!?
なんて恐ろしい!」
ああ、うん。
そうだね、もう夫婦だからね。
とりあえず僕は紗奈の言葉には返事をせずに横にした紗奈の口に口を重ねた。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。
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