第40話「ちょっと今、小説を書ける精神状態じゃないからあえて書いてみようと思って」

「ちょっと今、小説を書ける精神状態じゃないから、あえて書いてみようと思って」


紗奈はベッドの上で転がりながらスマホを触りながら唐突にそう言った。


今日の講義はリモートのみなので、紗奈も僕も家から講義を受けるだけだ。


大学に無事に入学したけど、大学生らしい生活をしているかは不明だ。


サークルの勧誘などもあったけど、紗奈の身体のこともあるのでどこにも加入していない。

当然、飲み会なども行っていない。


それで紗奈がいまどういう精神状態なのかというと……。


「お腹が減ったぁ〜。

でも集中力は少し飢餓感がある時の方が集中できるらしいのよ、野生動物的に」


紗奈がどうしてそういう状態なのかといえば、妊娠中は子供に栄養を与えるためとはいっても食べ過ぎて太ることはよくないとお医者さんに注意されているからだ。


体重増加は月に1kgまで。

そういうものらしい。


「やっぱり無理!

無理ったら無理!

人は脳に糖分が送られないと驚くほど脳みそが働かないわ!

お腹減ったーしか考えられないわ!!」


「ラーメンでも作ってあげようか?」

紗奈も僕もラーメンが好きだ。


「もやしもたっぷり入れて!」

「はいはい」

僕は立ち上がる。


「その前に!

作ってくれるお礼!」

紗奈は立ち上がった僕に両手を伸ばす。


それは確かに十分なお礼だな。

僕は紗奈の口に口を重ね、舌を重ねて味わう。

もっきゅもっきゅ。


「んっっつ」

すがりつくように紗奈は両手で僕を引き寄せる。

僕も紗奈を上から抱きしめるようにして、紗奈の口を求める。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。


口を離すと、トロ〜ンとした顔で僕を見つめる紗奈。

その唇にキスを落として笑みを浮かべて部屋を出た。


あれ以上続けると、食事どころじゃなくなるからね。

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