第36話「バレバレなジレジレ……アリね」
「バレバレなジレジレ……アリね」
ベッドの上で僕に絡まりながら、紗奈はスマホでカクヨムを見ていたと思ったら、唐突にそんなことを言った。
「バレバレなジレジレって……なに?」
「ん〜?」
僕がそう尋ねるが、紗奈はなんとも言えない返事だけして、スマホでカクヨムを見ている。
そしてしばらくしてポツリと。
「……言ってみたけど、結構ラブコメってそういうの多いね。
なんだったら、昨日言ってたみたいにベッドでしがみ付いてるけどジレジレしてる話まで見つけてしまったわ。
しかも結構人気作」
「……あるんだ?」
「あるのよ。
大体、一方通行で男が気のないフリとか勘違い系してたりするけど。
まあ、私が言いたいのはそういうのじゃないけど」
つまり初手から両想いがはっきりしているものを、ということだろう。
確かに最初はバレバレなジレジレってなにと思ったけど、ラブコメはそういうのがかなり多い。
「私としてはいっそ最初から婚姻届を自分たちでサインして届け出るところからスタートして欲しいわね」
「……それ、ラブコメとしては明らか終わってる」
「それでいいのよ!
むしろそれが良いのよ!
はれた惚れたとかどうでも良いのよ!
恋は堕ちるもの、愛は育むもの!
私は愛が見たいのよ!
好きじゃなくなったからーとか、好きかもーとかそういうのは別の多くのラブコメでやってるから、次よ次!」
紗奈はバンバンとベッドを叩きながら不満を訴える。
そして僕はようやくある考えに辿り着く。
「……紗奈。
疲れているんだね」
紗奈は僕の身体に顔をすりすりさせて訴える。
「颯太ー、癒しがー癒しが必要なのー!!!」
「はいはい」
「はいは一回!」
そうして僕らはいつも通り口を重ねたりするわけで。
もきゅもきゅもきゅもきゅ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます