第35話「この時期は更新が止まりやすくなるわね」
「この時期は更新が止まりやすくなるわね」
ベッドの上で座りながらスマホでカクヨムを見ながら紗奈は唐突にそう言った。
それから。
「勘違い系が読みたぁぁあーい!」
そう言ってパタリと横になる。
「あっ、力尽きた」
ぽふぽふとベッドを叩き紗奈は僕を呼ぶ。
はいはい、と近づくと紗奈は僕にしがみつき顔をすりすりしてきた。
「やっぱり書かなくなると、書こうと思ってもスムーズに言葉が出ないわね」
「そうなんだ?」
「憑依がうまくできないのよ。
書いてるときにこう〜なんというか考えて文字を打っている感じ?」
うん、全くわからない。
「ノッてるときは考えてないのよ。
考えなくても情景が頭に流れて指をそこに追いつけるので必死というか……。
大元の流れ自体はもきゅもきゅ幼馴染以外は決めてるから、その流れのままに書くだけなんだけどねぇー。
あとドキドキする展開が描きたい。
もしくは読みたい」
「ドキドキする展開?」
ベッドの上でコロンと転がり反対を向き、またコロンと転がり僕にしがみつき上目遣いで僕を見る。
「そうたとえば……私たちは幼馴染で、まだお互いの気持ちをバラしていないけどこうやって抱き合っています」
「この状態になった時点で物語はフィナーレに向かうしかないよね?」
「そうかもしれないけど、そうじゃないかもしれないでしょ?」
しがみ付いたまま、ジーッと僕の顔を眺めていた紗奈だが、やがて大きくため息を吐く。
「……ダメね。
どう考えてもここからもきゅもきゅに至る方法しか考えられないわ」
「いや、さすがにもきゅもきゅだけってことはないんじゃない?
たまにラブコメでは恥ずかしくて冗談で誤魔化したりとか……」
そこで紗奈はフッと笑う。
「颯太。
そんなジレジレもいいけど、ここまで来たら行っちゃいなよ!と私は思ってしまうタイプよ」
「そうか」
そんなわけで(?)僕らはそのまま顔を近付け……。
ピタッと紗奈は止まり、うーんと考える。
「どうした?」
「相変わらずもきゅもきゅ幼馴染で書こうとするとオチがないなぁって……」
そんなことを言うので。
僕は……。
「そうか」
それだけ言って紗奈の唇を奪い、そのまま舌も絡ませていく。
僕は紗奈がごちゃごちゃと考えているけど、とりあえずもきゅもきゅしてしまえとそう思った。
すると紗奈は諦めたように僕にしがみつきながら、応えるように舌を絡ませてきた。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。
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