第31話「実はもうテンプレに隔意はないのよ」
「実はもうテンプレに隔意はないのよ」
紗奈はベッドの上に座り、スマホでカクヨムを見ながら唐突にそう言った。
「そうなんだ」
「そうなのよ、神話として見れば良いって定義付けができたからね。
ああ、確かに神話ってそんなだったわねと思うと、むしろ推奨したくもなるわ」
なるほどなるほど、言葉の定義はとても大事だ。
今まではライトノベルや小説、さらにはネット小説の中でテンプレの……なんというかふわっとしたような感じが掴めなかったようだ。
それが紗奈にテンプレの振りして全くテンプレではない話を書かせて、紗奈がテンプレを書けないと諦めた理由だ。
「でも今なら書けるわ。
これで前から考えていたロボットゲーム系転生物(?)が書ける気がするわ。
書くとしても公爵終わって、戦記物書いて、それからだけど」
「だいぶ先だね」
紗奈はのべーとベッドに伸びる。
「いずれにしても今までふわっとで定義できなかったテンプレを定義できるとこんなに心持ちが変わるのね。
テンプレが神話や説話であることを、とあるカの編集部の人も理解してないみたいだし、難しいわね。
とある動画でネット小説がなにかという質問に対して、転生して最強に……とか説明してたけど。
それってテンプレの1要素でネット小説を指す言葉じゃないし、そもそもなろう系なんだけど、そこは良いのカクヨムとか思ったけど……」
紗奈は足をバタバタさせてから、スマホを両手で握り半身を起こす。
「ん〜、まあいいわ。
私が目指すのはただ一つ。
自分にとって読みたい小説を書くだけよ!
……もきゅもきゅ幼馴染は別だけど」
「うんうん、最近、もういいかと公開し続けてるね?」
「颯太ー!
それは言うては……」
紗奈が言い切る前に、はいはいと僕は紗奈の口を奪う。
そうすると紗奈の方からもスマホを枕の上の棚に置き、僕にしがみ付くように両手で抱きつき、僕らはゆっくりとベッドに倒れ込む。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。
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