真・第29話「危ない、危ない」

「危ない、危ない」


ふぃ〜と額の出てもいない汗を紗奈は拭う。

「すでに10人ほどアウトだと思うよ?」


さっきまでちょっとイチャイチャし過ぎていた。

それはまあ、いつものことなんだけど、よりによって紗奈はそれを晒し日記……もきゅもきゅ幼馴染で更新してしまってさあ大変!


イチャイチャして正気に戻った紗奈がたった今、黒歴史の上塗りを非公開にしたところだ。


「見なかったことにすれば良いのよ!」

僕は紗奈の頭を撫でつつ、首を傾げる。

それは……良いのか?


いいや、良くないような……。

「ええい!

悩む颯太なんてこうよ!」


言葉じりとしては勢いをつけて言っているが、行動としてはおずおずと手を伸ばしもきゅもきゅを催促。


当然、僕がその手を振り払うわけがない。

もきゅもきゅもきゅもきゅ。


口を離すと紗奈はテヘヘと照れる。

可愛い……。


さらに紗奈は照れたまま先程のことを思い出したように僕を上目遣いで見る。


「いやぁ〜、なんというか感情爆発しちゃったね?

あ、愛してる、颯太……」

可愛いかったので、僕は迷うことなく口を奪う。

「んんー!?」


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。


最後にちゅっと唇を重ね、透明な橋を優しく指で拭い。

「愛してるよ、可愛い紗奈」

そういうと紗奈は顔を隠すように僕の胸に顔を埋め、首を振る。

耳が赤い。

その耳を感動に震えながらついばみ、その流れのまま口を奪う。


「ふ、ふうた……」

それ以上、言葉を許さずまた口を重ねて。

もきゅもきゅもきゅもきゅ……。


そしてふと思う。

非公開にした分にも負けず劣らず、これも黒歴史になるんじゃないかと。


それを頭の隅に追いやり、僕らは飽きずに口を重ね続けた。


もっきゅもっきゅ。

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