第28話「時間がない時期に来たー!」

「時間がない時期に来たー!」


ベッドに座り、こんな感じのポーズ\( ゚д゚)/で紗奈は唐突にそう言った。


前から思っていたけど、このもきゅもきゅ幼馴染って自由過ぎない?

そう思ったが、それを口にしてしまうと口封じのもきゅもきゅが待っているので……。


「前から思っていたけど、このもきゅもきゅ幼馴染って自由過ぎない?」


口にした。


「颯太ァァ!!

それは言うてはならないこと……ねえ、颯太?

待ち構えないで?

緊張するから」


紗奈の隣に座り大人しく口封じを待つ。

おずおずと紗奈は顔を近付けるので、僕の方から紗奈の口を口で塞いだ。


もきゅもきゅもきゅもきゅ。


「口を封じるはずが、封じられたわぁー」

ヨヨヨと紗奈は崩れる。

どっちにしても互いの口で塞ぐのだから一緒という事実は追及してはいけない。


すぐに紗奈は起き上がり言う。

「それはそうと時間がないのよ」


僕はそんな紗奈の唇になんとなくちゅっと口付けをしてから頷く。

「4月から7月半ばまで忙しいね」


大学に入学してから落ち着くまでの期間でもあるし、紗奈のお腹も大きくなる。

そんな中、2人で勉強を始めようと決めたこともある。

それらが重なるのが7月まで続くのだ。


「これがまた悩みどころなのよねぇ〜。

実際、私はプロじゃないから、無理を押してまで小説を書く必要はないわ。

できる範囲で無理はするけど。

同時にプロではないから優先順位も高くできないのよね……」


誰しもそうだが、やるべきこと、やらなければならないこと、それぞれある。

僕らはまだ学生ではあるが、結婚してもうじき子供が産まれる。


愛し合ってそうなったことに一切の後悔はない。

ただ普通の学生のように自分のことだけを考えれば良いわけではない。


産まれてくる子供のこと、そして紗奈と子供と共に生きること。

そのためにやっておかなければならないことは沢山ある。

それは紗奈も同じだ。


僕らは支え合って生きていかなければならないのだから。


人生は24時間でやることの取捨選択である。

遊ぶこともゴロゴロすることも働くことも勉強することも小説を書くことも愛する人とこうしていることも、全てが選択だ。


ようするに……。

「時間がないの〜」

そう言って紗奈は僕に抱きつき嘆く。

その紗奈の頭をヨシヨシと撫でる。


それからいつも通り僕らは口と口を重ね舌を絡ませる。

もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。

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