第27話「へいへいへい〜♫」

「へいへいへい〜♫」


紗奈がベッドの上で座ったままでタオルを回しながら、よくわからないリズムを刻んでいる。


「今日はご機嫌?」

隣に座るとタオルを顔に当てられるので少し離れておく。


すると紗奈はすぐにタオルを回すのをやめて、こっちに来いとでも言うようにベッドをバンバンと叩く。


そしてすぐにパタリと倒れる。

「いいえ、ナチュラルハイというやつよ。

お疲れなのよ〜。

つ〜か〜れ〜た〜」


春眠暁を覚えずではないけれど、どこか春は疲れやすい気がする。


花粉が飛んでいるせいかな?


僕は紗奈の隣に座り頭を撫でる。

「今日はもうどうしようもないわぁ〜。

もう休む!」

「そうだね、無理はいけない」


紗奈はムクリと身体を起こし、真っ直ぐに僕を見て言う。


「なんというか、疲れてくるとなにもかも良くないのよ。

なんて言うのかしら、楽しむ心を失い、嫉妬や妬み……嫉妬と妬みって同じ意味ね?」

「うん、とりあえず紗奈は休んだ方がいいね」


もはやなにを言っているんだか。


「んっ」

紗奈は催促するように両手を伸ばす。

それに応えて僕は紗奈の口に口を重ねる。


もきゅもきゅもきゅもきゅ……。


たまにはこんな日もある。


……いつも通りともいう。

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