第23話「もきゅもきゅがぁあ!もきゅもきゅが足りない!!」
「もきゅもきゅがぁあ!もきゅもきゅが足りない!!」
紗奈はベッドの上でスマホでカクヨムを見ていたはずが、唐突にそんなことを言った。
「突然、なにを……むっぐ」
紗奈に上に乗られて口を奪われた。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。
「ちょっ……颯太、すとっぷ、すとっぷ!」
正気に戻った僕はいつのまにか紗奈を下にして、口を奪う側にまわっていた。
「あ、ごめん」
「しょうがないなぁ〜」
そう言って紗奈は笑って、ちゅっちゅっと唇を数度重ねてくれた。
口を離し、名残惜しい気持ちで紗奈の頭を撫でる。
紗奈はスマホを掲げ、なぜ突然もきゅもきゅがしたくなったか説明を始めた。
「カクヨムでとある話を書いていたらイチャイチャシーンになって。
なんというか、物足りなーいと叫ぶ公爵様の気持ちとシンクロしたせいなのよ」
公爵様言ってるし……。
「どのシーン?」
「まだ公開してないけど、ここよ」そう言って紗奈はスマホを見せてくれる。
顔が近づいたので口付けを数度かわして画面を見る。
「なるほどねぇ〜」
「ヒロインを2人にすることには葛藤があったのよねぇ〜。
ほら、私自身が颯太オンリー至上主義でしょ?
感覚的にねぇ〜。
でも、一夫多妻制の貴族で社会的にも周囲としても複数の嫁を持つのが普通の世界で、ここまで心を通わした相手を娶らないのって。
現代に蔓延る付き合っていながら結婚しない男みたいで、なんかヤダって思っちゃうのよねぇ」
「なるほど……世界が変われば常識も変わるのもあるね」
「うん、まあそれでもこの娘が奪ったるとか、私を見て、とかいうタイプだったらそれでも嫁にはしなかったでしょうね」
ふーむ、そういうものなのかという印象だ。
紗奈はかねてより自分で言うように憑依型なので、世界観の中に入り込んで見ているのだろう。
「……その世界を表現して引き込むことが私の課題なんだけど、難しいわー。
この物語の世界は彼ら彼女らのもの。
私はその彼ら彼女らの物語を『代わりに』表現して小説にしているだけ。
矛盾や内容で
難しいわー」
僕はそう言って悶える紗奈の頭を優しく撫でた。
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