第12話「主人公の在り方はほんと千差万別ね」
「主人公の在り方はほんと千差万別ね」
紗奈は僕の肩にアゴを乗せて、スマホでカクヨムを見ながら唐突にそう言った。
「そりゃそうだ」
一部の例外……と言ってもなろう系と呼ばれる作品には無個性タイプもよくあるが、ライトノベル系の作品では基本的に主人公には特色がある。
「これ見てよ」
紗奈が見せてくれたのは僕もたまに読んでいる作品だ。
「ここでこれを仕掛けた謎の人物を匂わせているんだけど……」
その話を読んで僕は紗奈が言いたいことがすぐにわかった。
これは僕と紗奈がわかり合っているとか、そういうものよりも感性というか価値観が似ているからわかった。
そして同時に紗奈が書く作品の主人公のタイプがどういうものかも、このときに改めて気付く。
「あー……、なるほど。
紗奈の描く主人公だと、このときの違和感で『気付く』ね」
「そうなのよ。
私もこの話を見て、私はそういう主人公の方が好きみたいなのよ。
熱血真っ直ぐよりも捻くれて勘を働かせて、でも優しい?みたいな」
言われてみれば、である。
どの作品でもある程度の伏線を仕込む作品はそうだと思うが、相手や敵対者、もしくは策謀する誰かの意図に主人公はいつ気付くか。
紗奈と僕は割と早めに主人公が気付くタイプの作品……。
「つまり、僕も紗奈も俺TUEEE系(?)が結構好きってことかな?」
「俺TUEEEで頭が良い系はそんなに多くないけど、知謀も備えているなら颯太の言う通りね」
でもまあ、そもそも。
「紗奈は策謀系好きだよね」
「うん、超お気に入りも策謀系だったからね。
で〜も〜」
そう言いながら紗奈は僕の身体に絡みつくように抱きつく。
「イチャイチャ系(超純愛系)も大好きー」
「うん、それはわかっている」
そう言って僕らはいつも通り口を重ねる。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。
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