第7話「ちょっと開眼しかけた気がしたけど、気のせいだったわ」

「ちょっと開眼しかけた気がしたけど、気のせいだったわ」


紗奈はベッドに転がりながら唐突にそう言った。


「うん、寝ようか」

紗奈はきっと寝ぼけているのだろう。


「作品で私は心にブレーキをかけていた気がするわ!」

「気のせいだよ」

「颯太、そんなこと言う口はこうよ!!」

「あっぐっ」


僕と紗奈の口が重なる。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……ちゅっ。


「……落ち着いた(?)から寝るわ」

「……うん、おやすみ」

「颯太、おやすみのもきゅもきゅ」

「はいはい」

「はいは一回」


優しく紗奈の唇をついばむようにキスをして、舌を柔らかく絡ませる。


もきゅもきゅ。


「おやすみ」

「おやすみ、颯太」


紗奈は僕に擦り寄るようにして目を閉じる。

その唇にもう一度だけ、触れる程度のキスを落として僕も目を閉じた。

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