第4話「さっきの話、少し官能的じゃなかった?」
「さっきの話、少し官能的じゃなかった?」
紗奈がスマホでカクヨムを読みながら今更なことを聞いてきた。
「もきゅもきゅはちょっと晒しすぎだと思うよ」
僕も今更なことをもう一度告げる。
「もきゅもきゅは良いのよ。
良いというか仕方がないわ。
私たちのイチャイチャレベルではあれが限度よ。
好きだとか好きじゃないとかの世界線にいないんだから」
世界線って……。
「じゃあ、官能的ってどこが?」
「ほらぁ〜、なんというか、こうー、イチャイチャを超えてしまったというかー」
「そりゃまあ、愛し合ってるからね」
今更だよ?
僕が断言すると紗奈はベッドをバンバンと叩いて悶える。
「颯太もー!
もきゅもきゅするわよ!」
そう言って口を延ばしてくるので、それに応えて口を重ねる。
もきゅもきゅ……。
「ところでもシーズン2のきゅもきゅ幼馴染を見ていて、おそろしいことに気付いたんだけど」
紗奈の頭を撫でながら尋ねる。
相変わらず紗奈の髪質は柔らかくて心地が良い。
「なに?」
「あっ!
その前に颯太ペン持ってみて?」
言われるがままにペンを持つと、紗奈は僕を椅子に座らせ、背中合わせに。
それから紗奈は自分のスマホでタイマーセットして、僕のスマホを手に持つ。
光が点滅して写真が撮られる。
それを確認してニンマリ笑う。
「どう?
私たちカクヨムコン8の男女2人に似てない?」
カクヨムコン8の綺麗な男女2人。
「紗奈はこんな雰囲気はあるけど、僕はここまで格好良くないよ」
紗奈はこんな感じの黒髪で美人だ、間違いない。
「そんなことないわよ!!
颯太イズベストよ!!!」
紗奈が断言する。
颯太イズベストってなに?
「とりあえずもきゅもきゅしとくわ」
なにがとりあえずかもわからず、口を重ねられる。
もきゅもきゅ。
「それでシーズン2を始めてなにに気づいたの?」
紗奈に尋ねると、自分のスマホを操作してPVを見せてくる。
「一回の更新で約100〜200PVなのよ。
これって最新話を読んでくれていう人と数が大差ないのよ」
「最初だからね」
「ところがシーズン1も同じぐらいだったのよ。
通常1回100〜200PV。
これってつまりシーズン1でもシーズン2でも新規の人ってほとんどいなくて!
もきゅもきゅ沼にハマって最新話を追いかけてしまった人が、シーズン2でもそのまま読んでくれているということよ!」
「それは……すごいね」
おそろしいといえばおそろしい。
もきゅもきゅ沼ってなにとも思うけど。
「でもね、これってつまり刺さる人には刺さってしまう作品であることも意味するわけよ!!
……その作品がもきゅもきゅ幼馴染なのは、どうかと思うけど」
うん、まあそうだね。
「でもね、やっぱり私としてはそういう作品を描いていきたいとわがままに思うわけよ。
……もきゅもきゅ幼馴染は別にして」
「そうだね。
もきゅもきゅ幼馴染って、要するに僕らのことを晒しているだけだしね……」
「颯太ぁ!!
言うてはならんことを!!!」
そう言って紗奈はちょいちょいと指で、僕にもきゅもきゅを要求する。
はいはい、とばかりに僕と紗奈は口を重ねる。
ちょっと激しめに。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。
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