(2022/11/7)730日目(残り0日)「本当は今日で最終回だったはずなのよ」
「本当は今日で最終回だったはずなのよ」
ベッドの隣で僕に引っ付きながら紗奈は唐突にそう言った。
「そういえば言ってたね」
婚姻届を役所に提出してクローバーの小鉢を貰って、何事もなく家に帰ってイチャイチャしてたらこんな時間だ。
「びっっっっくりするぐらい、あっさりだったわ。
若いですね、おめでとうございますと言われただけでパッと見て受理しました。
これどうぞでクローバー!
こちらの方が、『あっ、どうも、じゃあ……(良いのかな?)』って感じであっさりだったわよ!」
「そりゃまあ、若いってだけで法律は守ってるからね。
後ろ暗いところはないよ」
僕がそう言うと紗奈はちゅっと唇を重ねて笑う。
「それもそうね、旦那様」
「そうだよ、お嫁さん」
そう言って僕らはいつも通り口を重ねる。
もきゅもきゅ。
「ところで紗奈。
本当はって、何?」
「一応最終回はもう少しだけちゃんと書こうかと思って。
だからもうちょっとだけ続くの。
どこかの一日だけ」
「そうか」
そう言って再度口を重ねる。
もきゅもきゅ。
「ところで颯太」
「何?」
「よく考えたら私たちって子供が出来ても大丈夫な家庭環境にあるのよね」
両親も孫が出来た時の話を積極的にしてくるぐらいだ。
つまり、そうなのだろう。
紗奈は妖艶に笑い、僕の首の後ろに腕を回してしがみ付く。
小さく僕の耳元で囁く。
……1つの身体に、と。
「……そうだね」
大人になりかけの僕らが大人に進んでいく。
それはもう止まることはない。
そうして僕らは口を重ねる。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。
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