オーバータイム「いやぁ〜、時間ないわねぇ〜」

「いやぁ〜、時間ないわねぇ〜」


ベッドの上でゴロゴロしていた紗奈は唐突にそう言った。

僕もベッドの上で紗奈と一緒にゴロゴロしていた。


「とにかく一旦、落ち着いて休んで心を落ち着けてからじゃないと最終回は書けないわ。

今なんて5分で書こうとしているわ!

5分よ!」


「それはなかなかの勢いで……」


「そうでしょ?

だからご褒美!」

ご褒美をあげることかはともかく紗奈は自分の唇を指差す。

それにご褒美が誰にとってのご褒美か、でもある。


……まあ、2人にとってだな。


そう思いつつ、僕は紗奈の口に口を重ねる。

もきゅもきゅもきゅもきゅ。


見ての通り、結婚しても僕らの関係は変わらな……いや、敢えてはっきり言わないがイチャイチャは酷くなっている。


口を重ねた僕らはその口を離すことなく、もっきゅもっきゅと続けて。


あとはどうなるかは、僕らには分かりきったことだ。

もきゅもきゅのストッパーはもう効果がない。

それどころか、ソレを加速させる本来の意味しかない。


だから、この夜もこのまま……。


もきゅもきゅもきゅもきゅ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る