724日目(残りたった6日!)「どうせなら振りきりたいわね」

「どうせなら振りきりたいわね」


ベッドの上で一緒にゴロゴロしていた紗奈は、スマホを手に取りカクヨムを見ていたが唐突にそう言った。


「振りきるって何を?」

「作品を、ね!」


僕は首を傾げる。

「突飛な出来事が起きたり、驚くような仕掛けをしたりってこと?」


「そうよ。

例えば散々もったいぶっておきながら、颯太ともきゅもきゅ以上を晒したりとか。

あ、晒さないわよ?

何度も言うけど、私のイケナイところは颯太にしか見せないから」

「そりゃどうも」


そう言いつつも紗奈は僕の唇に自分の唇を重ね、モニュモニュと啄むように感触を味わったあと、舌を絡ませる。


もきゅもきゅもきゅもきゅ。


「そうは言ってもいきなり転生とか意味の通じない行動では面白くないのよ。

その発想はなかった、という驚きでないと。

なんでもありって意外と面白くないし。

たま〜になら面白いけど」


人はどうしても繰り返されると慣れて飽きてしまう。

どんな驚きの表現も意味もなく使い続ければ、その価値は薄れる。

最初の頃の驚きほどではないのだ。


そうでさえなければ、多少論理的でない物事を仕掛けに使っても、オーケーとは言えるかもしれない。


もっとも僕らの日常はそんな刺激的なものとは是非別でありたいが。

刺激が悪いものでなければ良いのだということだ。


「でも疲れていると浮かばないの」

なかなか身も蓋もないことを紗奈が言う。


「……っというわけで、しましょう」

それを言われて僕は意味が分からず、思わず首を傾げた。


紗奈は僕にしなだれかかったまま蠱惑的に微笑する。

それに僕がゾクリとしてしまうのは仕方がないことだ。


「……そういう言い方、初めてじゃないか?」

「……私は颯太とはいつでも1つになりたいのよ?

たまには、ね?

……1つになりましょ?」


「……踏み込んだね」

「でしょー、でしょー?」

そう言いながらいつもの紗奈の笑みをニッと浮かべる。


「こういう表現1つで作品は振り抜くことが出来るものなのよ。

あとは使い方なんだけどねぇ〜」


紗奈はふむ〜と考え出すが、紗奈が押した僕のスイッチは止まることはない。

僕は紗奈のの服にそっと手を入れる。


「あ、あれ?

ふ、颯太?

狼化してる?」


そりゃそうだ。

そう思いながら紗奈の唇にキスをする。


「あ……あれ?

1つになる感じ?」

「なる感じ」

「ほ、ほどほどでお願いします!」


そう言う紗奈に返事をすることなく、僕は紗奈を優しく押し倒し……僕と紗奈は1つに

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