訂正!702日目(残り28日)「熱い物語が読みたいわ!」
「熱い物語が読みたいわ!」
僕を巻き込んでベッドにゴロゴロしている紗奈が唐突にそう言った。
「読んでるんじゃないの?」
「読み切ったわ!
更新があった瞬間に読んじゃうから!」
紗奈はいつもフラリとカクヨムを開いては、更新しているものをチェックしてしまうらしい。
「最近はスコッパーの時間もないから、更新分はすぐに消化してしまうのよねぇ〜」
「ランキングは紗奈の好みじゃないからね〜」
「そうなのよ。
昔でいうところの王道でもそうだっただろうと思うけど、流石に同じ設定を繰り返されると人は飽きちゃうからね」
「イチャイチャ幼馴染も、もきゅもきゅを繰り返しているだけだしね……」
「颯太!
それを言ってはいけないわ!
そんな口はこうよ!」
そう言いながら紗奈は、んしょと僕の上に乗っかる。
僕は紗奈を優しく抱きしめて、背中をトントンと叩く。
それから紗奈は顔をこちらに向けるので、いつものように口を重ねる。
もきゅもきゅもきゅもきゅ。
口を離し、数度ちゅっと唇を重ねた後。
「そういえば紗奈はどうしてイチャイチャ幼馴染で、もきゅもきゅばかり書いてるんだ?」
僕らはもきゅもきゅばかりしているわけではない。
いやまあ、世間一般のラブラブカップルよりも、もきゅもきゅは多い方だと思うけど、別にそれ以外に何もしていないわけではない。
学校にも行ってるし、両親とも友達とも話をしている。
だけど、紗奈は夜のもきゅもきゅばかりを強調しているのだ。
「いやぁ〜、最初は日常小説としてまとまった話にしようと思ってたんだけど〜……」
「そうだね、具体的に30日ぐらいまでそうしてたね」
付き合い出してから……イチャイチャしだしてから、だんだん……だんだん……100日辺りからもう完全な黒歴史をこれでもかと!!
「同時並行で長編作品書いていると脳のリソースに限りがありまして〜……。
完結させる気がないなら、そのままで行けば良いんだけど、そういうのはこう〜ね?」
多くの作品が完結を選ばず次に移ることが多い。
同時並行で書き、人気が出た作品を続ける。
それもネット小説という物の特徴だろう。
その中で書いている作品の完結目指すというのは、紗奈なりのこだわりだ。
「特に私は憑依型でしょ?
例えばギャグストーリーの後にシリアスな話とか切り替えがなかなか……。
それに次の展開に澱みなく続けるには、書くたびに考え続けないといけないから魂エネルギーが保たないの。
でも人は毎日書かないとそれはそれで衰えるから、この何も考えずに颯太エネルギーを吸収出来るイチャイチャもきゅもきゅは非常に都合が良かったというか、なんというか……」
なんと僕は紗奈にエネルギーを吸われていたのだ!
吸い返してもいるからプラマイゼロな気もする。
「だからこんな正直に黒歴史が出来上がってしまったんだね……。
ここまで来たら、もうほんと今更だけど」
「今更ね。
でも正直言って、こんな話が読みたいのよ。
黒歴史だけど」
うんまあ、正直に言って僕もこういう話は嫌いじゃない。
「毎日あったかい話。
カクヨムでもあまりないのよねぇー。
来月からどうしようかしら」
「ま、ゆっくり考えたら?」
「そうね。
さ、颯太もきゅもきゅするわよ!」
紗奈は元気よく笑って舌を出す。
元気に舌を絡ませるって……。
……とはいえ、紗奈とのもきゅもきゅに僕が抗えるはずもなく。
僕は紗奈の綺麗な舌に自分の舌を絡ませる。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。
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