691日目(残り僅か39日)「魂が震える話がッ!読みたい!!」

「魂が震える話がッ!読みたい!!」


隣で一緒に勉強していた紗奈が。

度重なる勉強の日々で遂に壊れたのか、ペンを握りしめたまま唐突にそう言って悶えた。


「日々、気に入った話の更新分読んでるんじゃないの?」

紗奈は1日に数度、カクヨムでスコッパーする時間はなくとも更新分だけは定期的に読んでいる。


「全然ッ!足りない!!

もっとこうガッとグワっとやってしまったー!!!と思うぐらいに夢中になって続けて読みたいの!!


スコッパーしないと見つからないの!

トップページに出てくる書籍化された作品は私の好みとは方向性が違うの!


これが私とカクヨムとのズレ!!」


まあ、紗奈はテンプレ系は悪役令嬢系か幼馴染系しか読まない。


その結果、流行りのテンプレ系は除外してしまうので、カクヨムで選ばれるものは紗奈の琴線に触れないのだとか。


ややこしいが、それは紗奈の読み手としての精神がそうなのだとか。

当然、書く物も主流とは違う方向性の作品になるのも自然の摂理というものである。


「改めて考えても、なろう系ってかなり独特の作品体系よね。

古来からその流れの作品はあっても、なにもそれだけってわけじゃなかったはずなのに、かなり長い間、それだけに固まってたから。

その流れも変わり出してるけど」


紗奈曰く、なろう側でテンプレファンタジーがトップ5から外れることもよくあるだとか。

「読んでないけど」

「読んでないんだ」


紗奈は僕の手を引き、ふらふら〜とベッドの方へ。

「読んでる暇がないの。

でも読みたいの。

それでテンプレって不思議だなぁと思ったんだけど、漫画の場合、新人の作品もそうでない作品も、テンプレのように同じようなものってほとんどないのよね」

「紗奈が自然と除外してるからじゃない?」


言われて紗奈は目をパチパチさせて、漫画アプリを起動。

しばし……。


「あっ、ほんとだ。

そこまで数はないけど浮気物の新作とかあった」


人は見たい物を見る性質がある。

そんなものである。


「ま、読まないけど」

そう言って紗奈は僕に催促するように手を伸ばす。


それを読む読まないもまた、人それぞれである。


今日の勉強を終えた僕らはそのままベッドの上で口を重ねる。

もきゅもきゅ。


「……改めて考えると、ベッドの上でもきゅもきゅってかなりやらしくない?」


とりあえず僕は紗奈がそれ以上、言うてはならんことを言わないように、口で口を塞いでおいた。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。

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