659日目(残り71日)「ポジティブな言葉で物語を紡ぐこと」

「ポジティブな言葉で物語を紡ぐこと」


紗奈がコロンコロンとベッドに転がりながら、唐突にそう言った。

僕は椅子を回転させて尋ねる。

「どういうこと?」

「とりあえずキスしよ?」


直接的な言葉に悩むまでもなく、飛ぶように一足飛びで紗奈の隣に座り、口を重ねる。


もきゅもきゅもきゅもきゅ。


「キスじゃなくて、もきゅもきゅになっちゃったね?」

首を傾げて可愛くそういうものだから、今度はキスを唇に数度落とす。


するとちょっと火がつきかけて、紗奈が僕の首の後ろに腕を回しあむあむと唇を重ねる。


……しばし。


最後にちゅっとリップ音を鳴らし、もう1度だけキスをしてから唇を離すと紗奈はにこっと笑う。


「SNSとかでポジティブな言葉を使っているかどうかで、うつ傾向とか非うつとか分かる研究があるんだって」

「そうなんだ」


「意外な言葉があったよ?

まあ、とか」

うぐっと僕は言葉に詰まる。


……僕はそれをよく使っている。

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