633日目(残り97日)「あれもこれも書きたいのよ……」

「あれもこれも書きたいのよ……」


僕らのベッドの上で完全に伸びて、僕の枕をフガフガしていた紗奈が唐突にそうぼやいた。


僕は机の上を片付けながら、紗奈の隣へ。

それから紗奈の頭を撫でながら言った。


「うん、ちょっと休もうか」

紗奈はコロンと顔だけを僕の方に向ける。

「……よく気付いたわね、私がお疲れモードなことを」


「前に何度もあったからね」

現在、執筆しているものよりも新しい作品を書きたいと言い出した時はほぼ紗奈は疲れ切って脳みそが働いていない時だ。


紗奈がわざとらしくヨロヨロと僕の方に手を伸ばす。

僕は紗奈に応えるようにその手をそっと取り、紗奈の口に自分の口をゆっくりと重ねる。


もきゅもきゅもきゅもきゅ。


口を離した時に、紗奈の唇が艶めかしかったので、唇で拭き取るように紗奈の唇を啄む。


もむもむ。


その間も紗奈は目を逸らさずジーッと僕を見てくる。

こういう時は何も考えていないか、催促しているかだが、どちらでもいいやと僕はそのまま紗奈の口を奪う。


「んっ」

もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。


……。


……。



「……疲れた」

「そうなんだろうね」

紗奈の隣に寝転び、優しく頭を撫でる。


紗奈は不満だと訴えるように口をとんがらせて、僕の胸に擦り寄ってぐりぐりと顔を押し付ける。


紗奈の行動が可愛くて僕は笑みを浮かべて頭を撫で続けた。

この感触が良いんだよなぁ。


そこで紗奈は身体を僕の顔の方に近寄って、僕の唇にキスをしてから、再度、僕の腕の中に戻り口を開く。


「分かってるのよ、こういう時は書きたい気持ちがなんていうの?

散文的だから、短編は別にして小説にしようとしてもまとまったものにならないのよ。


どんなに書くのが早い人でも、10万字書くのにみっちり10日は書くための休日が必要だからね。

専業ライトノベル小説家はほとんどいないから別として。


だから休むのが正解なのよー」

紗奈はそう言って、僕の腕の中でもぞもぞする。

うん、落ち着かなくなるからやめようね?


「そんなわけで颯太で休むことにするわ」

「僕で休むってどういう、むぐっ」

紗奈はそのまま僕の口を口で塞ぎ。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅちゅもっきゅもっきゅ……。


……。


……。

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