残り108日「ねえ、なんで寝取り浮気ばかりなの?」

「ねえ、なんで寝取り浮気ばかりなの?」


ベッドの上でゴロゴロ〜、ゴロゴロ〜としながらスマホでカクヨムを読んでいた紗奈は唐突にそう言ってベッドをバフバフと叩き出す。


やめなさい、埃が立つから。


僕は机の上を片付けて紗奈の隣に座る。


紗奈はガシッと僕の腰を捕まえて、スマホの画面を見せる。


「見てよ、これ。

ラブコメ熱が再燃して、イチャイチャドキドキハッピーな作品を求めて、ランキングを見たのになんでこんなに寝取り浮気、ついでにエロが多いの!?」


「ほんとだね、人気だ」


紗奈は僕のお腹に顔を押し付けて、ぶーと息を吐く。

おう〜、生温かい。


「私は!

イチャイチャラブラブしてハッピーな話が見たいの!

出来ればエロ少なめで!


少しぐらいは愛ゆえにそういうシーンというか部分があっても良いけど、いきなりエロ優先で来られるのは勘弁!


あと隠キャで学校1美少女とか美少女アイドルとか、そういうのも!

多い、多すぎるのよ!


でもこの際、それはもういいの!

他にイチャイチャラブラブハッピー作品があるならば、それも多様性の1つよ?

それでイチャイチャラブラブハッピーならなおよし!


でもね?

寝取り浮気浮気、そしてNTR!

もう十分よ!

なんなの!?

ラブコメの代名詞は寝取り浮気NTRなの!?

私たちが求めるハッピーで幸せなラブコメは夢物語だというの!?


この世は修羅か羅刹か!?

もう最初っからそういうのもういいからぁ〜……、うう……」


よっぽど鬱憤が溜まっていたらしい。


まあ、確かに幸せな恋愛物を求めて探していて、そんなのばかりなら流石にキツいかもしれない。


「ランキング……、少しは分かってたつもりだけど、最近また偏りだしているね。

う〜ん、流れなのかなぁ。

盛り上げやすいというのも人気の1つなのかなぁ。

それとも意外と寝取り好きが多い?」


「うう……、愛は何処……?

お気に入りの作家先生たちの作品に期待するしかないわね……」


とりあえず僕は紗奈の頭を撫でておく。

頭を撫でられて少し落ち着いたらしく、紗奈は違う話をし出す。


「そういえばこえけんなんだけど、実際、音声になった時、皆が幸せになるような話が選ばれてほしいなぁと思うわね」


「そうだね。

単純にエロに重視されると音声化されても、僕はちょっと聴けないかなぁ。

聴くと幸せになる話。

うん、そういうのが選ばれるといいね」


そうして、紗奈はしばし僕に頭を撫でられ続けた。

あ、もちろん、その後で口は重ねておいたけど。


もきゅもきゅと。

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