残り111日「書くのに気力が足りないわ」
「書くのに気力が足りないわ」
今日も1日が終わり、さあ、寝ようかと一緒にベッドに入ったところで紗奈が唐突にそう言った。
「そうなんだ?」
「そうなのよ。
書き出したら書けるけれど、まず続きを書きたい気持ちにならないというか……。
最近は星は減る一方だしね」
「星減るの?」
カクヨムってそういうシステムだっけ?
紗奈はタオルケットを首元まで持ち上げてちょこんと顔だけ出す感じで、僕の方をじっと見てくる。
相変わらず可愛いと思える僕は色ボケなのだろう。
「減るのよ。
ランキングが落ちて、話数も2桁を超えて3桁になるとほとんど星は増えないし、更新のたびにちょっとずつ何故か星も減るから、ますますもって書く気力がなくなる。
悪循環ね」
「星が、減る……」
僕は再度繰り返し呟く。
ちょっと不可思議な現象だ。
僕が読んだ時は星を入れることはあってもわざわざ減らしたりはしない。
何かのメッセージのつもりだろうか?
しかしそれは紗奈が言うように書く気力を奪うだけであまり……。
「ま、元々、起こってた現象だけどね」
紗奈はあっけらかんと言った。
「そうなんだ」
「コンテストの時はよく噂されてたけどね。
星が増えなくなったから悪目立ちするのよね〜。
気にしても仕方ないんだけど」
ふふふと紗奈は気にしていないように笑い……。
「でもまあ、書くのはもういいかな、と背中を押しやすくはなるわね」
ちょっと寂しそうにそう言った。
これについては僕に出来ることはない。
紗奈の頭を撫でる。
「ずーっと前に言ったけど書くのは魂のエネルギーを使うのよ。
その補充は応援とかコメントとか星とか、最近ではサポーターの応援とかがあれば回復しやすいけど、それがなかったらあとは気力だけの戦いね。
そうなると、いつまでも……というのは無理でしょうね」
「そうか」
その上で面白いと思えるものを書き続ける。
それは実にハードルが高い。
「ま、それでもなんとか書き切るつもりだけど、更新は遅くなるわね」
それだけ言うと、紗奈は両手を伸ばして催促するから、僕は紗奈と口を重ねる。
もきゅもきゅ。
「……ちなみに、何故かイチャイチャ幼馴染は下がる事がないわ。
……なんでかしら」
なんでだろう……。
「この作品だけは私が好きに書いてるから、いつも星を入れて貰うと、ごめんなさいと謝りたくなってしまうわ……」
「そう思うなら、これ以上晒さないで欲しい……」
それを言うと、紗奈は聞こえないフリをして僕の口を紗奈の口で封じてきた。
ちょっと激しく。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。
まあ今更だよね……。
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