1年と214日目(つまり残り151日)「暑くて眠くてテンション上がらなくてお腹が空くと書けないのよ」

「暑くて眠くてテンション上がらなくてお腹が空くと書けないのよ」


僕らのベッドでゴロゴロしていた紗奈は唐突にそう言った。


そして僕の返事を待つことなく答えを出す。

「あれ?書ける日なくない?」

「ないねぇ」


紗奈は足をバタバタさせて悶える。


「スランプとは違うのよ〜!

アイデアが浮かばないとかではなく、気力が出ないのよ〜!

そもそもプロでもないから無理して書く必要がないだけにこれがまた!」


「まあ、そうだよねぇ〜」


「公爵様の話はちょっと浮かばないけれど……。

あれも集中して何か書いてると、メラクルが乗り移るから、そうしたら書けるんだけど」

「具体名出しちゃったね?」


紗奈は足をバタバタさせて僕を呼ぶ。

はいはいと机の上を片付けて紗奈の隣に。


紗奈は僕に全身で絡みつくように抱きつく。


「定期的にイチャイチャしないと大変なことになるのよ!」

「紗奈の定期的は毎日ってことだよね?」

「当たり前じゃない」


まあ、当たり前かもね。

そう言いつつ、軽く舌を絡ませる。


もきゅもきゅ。


ちゅっと最後に紗奈から唇にキスをしてくる。

そうすると危ない危ない、精神的な火がつきそうになりながら数度唇を重ね合う。


少しだけ唇を離し、吐息がかかるぐらいの距離で紗奈が目をとろ〜んとして言う。


「どうよ?

こんな感じに最近書けないのよ」


「前はそれでも書いてたから、僕らのイチャイチャとは特に関係ない気がするよ」


「それもそうね……」


免罪符を得たように、紗奈から再度、啄むように唇を重ねてきて、そのまま口を重ねる。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。


そのまま僕は優しく紗奈を押し倒す。

押し倒されながら紗奈が抵抗することはなく、むしろ首の後ろに腕を回ししがみ付く。


「颯太……」

とろ〜んとした目で言われると僕に抗う術はない。

抗う気も元よりないけど。


再び、唇を重ねて。

僕にしがみ付いたままで紗奈は僕に尋ねる。


「私たちなんの話してたっけ?」

「書けないって話じゃなかった?」

「……そうだったわね。

また今度考えましょ」

そう言って紗奈はせがむように口を重ねてくる。


もきゅもきゅもきゅもきゅ。

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