1年と204日目「G’sこえけんを検証してみることにするわ」
「G’sこえけんを検証してみることにするわ」
「はっ?」
僕たちはいつものように登校している途上で、紗奈が唐突にそう言った。
「検証ってどんな……」
僕が言い切る前に紗奈がくりんとこちらに振り向き更に言った。
「イチャイチャしたい」
「いつも通り唐突だね?」
周りに人はいないが、野外でイチャつくのは流石に抵抗があるし、一度タガを外すとどこまでも堕ちてしまうものだ。
「どうしよう。
家を出たら考えないようにしてたのに、今、とっても颯太ともきゅもきゅしたいわ」
「待てい、落ち着け紗奈」
とにかく僕は紗奈を懸命に宥める。
一見、そう言っている僕が冷静なようだが、紗奈がそれをオッケーとした場合、僕に我慢が出来るかは疑問だ。
いつだって僕の方こそ紗奈に触れたいのだ。
だからこそ、僕らは学校で不用意に近付かないように一定の距離を保っているのだ。
そうでないと学校でも隙を見てもきゅもきゅしてしまう。
紗奈はマスクを少し下げて、自分の唇を指でなぞる。
そして僕のマスクにその指を突っ込み、僕の唇を端から丁寧にその指でなぞらせる。
なんとなくやられるがままも癪な気がしたからその指をパクッとくわえてやった。
すると紗奈はマスクを付け直し、僕の口から引き抜いた指を自分のマスクの中に。
指を咥えたのだと分かる。
「日中はこれで我慢しておくわ」
「ああ、うん」
「それにこえけんに応募するなら、流石にもきゅもきゅするのは不味いからね。
とりあえずこんぐらいで抑えておかないとね」
「ああ、うん……じゃない。
待てい」
「どうしたの?
あっ、颯太ももきゅもきゅが我慢出来なくなってきた?
どうしよう?
でも隠れてしようにも、外でなんてスマホでコッソリ撮影されて脅迫を受けるなんてラブコメにもよくある話だから、流石にね?」
「ラブコメで隠し撮りでの脅迫ネタはあんまりないと思うよ?
ラブコメでの浮気ネタはもっとこう……なんというか俗物的、じゃない、即物的な感じじゃないかな?」
「とりあえず思うんだけど、いつから浮気ネタはラブコメの範囲に入るようになったのかしら?
浮気寝取りって笑えなくない?」
「ああ、うん。
そうだね」
そもそもカクヨムのラブコメはラブコメディの意味じゃないから良いんじゃないかな?
永遠に理解するのは難しいだろうけど。
「うーん、今の流れをこえけん用に書きまとめようかしら?」
「やめた方がいいと思うよ?」
絶対、後で自分で確認した時身悶えすることになるから!
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